2013/01/26

小さな会社の節税ダイエット

 ご好評をいただいている「音声経営セミナー」、「音声講座版 小さな会社の節税ダイエット」については、カテゴリー別にまとめてご覧いただけます。以下のカテゴリーをクリックしてください。

音声講座版 小さな会社の節税ダイエット
 -->★音声講座★小さな会社の節税ダイエット

 なお、右の列にあるカテゴリーをクリックして、選択いただくこともできます。

【近況】
 公認会計士協会(目黒会)にて、24年3月所得税確定申告セミナーを開催しました(2011.12.19)。
 社労士向けコーチング記事が掲載されました(月刊社労士2011年1月~3月)。
 労働組合幹部向けIFRS講座を実施しました(2011年1月)。

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2012/02/02

飲食業の倒産大幅増加

 今回は、月刊・社長のミカタ2012年1月号5面(NP通信社)の記事からネタをいただいた。

 商工リサーチによれば、2011年1月から9月の飲食業の倒産が606件と前年同期比5.5%の伸びだそうだ。2009年の789件に迫る勢いらしい。
 関西を中心に大型居酒屋チェーンが倒産しているとの話はネットニュースでも見ていたが、小規模倒産も前年比8%増加している。
 原因は、宴会自粛、内食・中食、家飲み需要によるものだそうだ。ユッケ食中毒、セシウム肉のせいで、国産牛を売りにしている焼肉屋はBSEに続き、痛手を被っている。

 一方、知人の焼鳥屋(焼鳥屋がよく飲むので)では、こうした煽りを受けてか、12月の売上を伸ばす店が少なくない。
 店主に聞くと、少人数、友人同士、女子会の需要があったそうだ。また、焼肉やフレンチのような5,000円を超える予算の店から移ってきた人たちもいたそうだ。
 一時的な需要で終わらせるか、常連に導けるかは店主次第だ。

 景気により客筋が減る中、閉店が増えれば、ぎりぎりまで我慢の経営をした店が自然に生き残りやすくなってくる。
 こういう時に、運転資金程度の貯蓄があったり、政策金融公庫貸出を受けられるような会社は粘っていくことができるので、経営が楽になることが期待できる。
 運転資金程度というのは、ボーナス資金や小修繕で店内をこぎれいにする程度の資金だ。設備投資の資金ではない。回収できない可能性があり、景況感が見えてこない間は控えるべきである。

 せっかくお客さんが移動してきたのだから、しっかりつなぎとめてもらいたいところだ。
 異業種の成功例をヒントにすることは、他店に差をつけることができる。なぜなら、普通、異業種の真似をしないからだ。
 今はやりのネールを参考にしてもらいたい。癒しが不要なら自分で塗ればいい。複雑なデザインだって、シール式になったものが売られているのだから、自分でできるのだ。他業種の特徴をヒントにすることは、他店に差をつけるきっかけになる。

 カウンター席しかない店だと、自然、スナックのような感じで、店主・従業員とお客さんとの距離は接近していくので、常連ができやすい。一方、ちょっと喧嘩すると、ぱたっと来なくなるリスクはある。
 問題なのは、テーブル席を中心にする店だ。たいていの店主、従業員は「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」が言えても、「いつもありがとうございます」「お子さん、大きくなりましたね」が言えないのだ。
 ところが、店主の奥さんは、これができるのだ。女性だからか、共感性が高く、お客さんがどんな一言を喜ぶかを身をもって知っている。
 従来、人付き合いを円滑にする上で、コミュニケーション・スキルは女性としてのみだしなみの内だったと言えるだろう。男や若い女性は、この共感性というか、ある意味、社会性が不足していたり、未熟であることが多い。

 立ち寄ったお客さんの心をつかむということを意識するだけでも、接客に変化が生ずる。どんな言葉をかければよいのかわからないならば、流行っているか安定している店で、奥さん(おかみさん)がいる店に行ってみるとよい。
 以前、私も実家の居酒屋を手伝っていたとき、他店の真似をしてみたことがある。実際にやってみると、他店の店主や女将がどういった気持ち(共感性)で言っているのかを考えるようになる。頭で想像するだけでは、案外、自分の変化を想定することは難しいものだ。
 新たなライベル店が出現する前に、目の前のお客さんの心をしっかりとらえてもらいたい。

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2012/02/01

書籍:顧問報酬から見た会計・税理士事務所の選び方


 なかなか会計事務所にとっては刺激的なタイトルの本だ。

 経営者向けの本だが、おおむね年間200万円くらいの顧問報酬を支払っている会社にとっては参考になるだろう。私が経営者であれば、この本を片手に報酬額の交渉をするだろう。

 本書では、会計事務所への報酬が年間190万円安くなれば、10年間で1,900万円もの差が生じ、マンションのひとつも買えるという主張が書かれている。
 ということは、もともと年間報酬300万円くらいないと、この計算は成り立たない。10年間を20年間にしても、年間報酬200万円を100万円に抑えるといったケースでないと、成り立たない。

 ただ、可能性はある。計算の複雑性は高くなく、会社規模(売上高、利益額)が大きいケースだ。
 この場合、税額が大きいので、会計事務所が計算違いをした場合、ちょっと間違えても100万円単位で差異が生じてしまう。そのことに対する会計事務所への損害賠償請求額が大きくなるわけだ。
 それくらいの仕事を依頼する会社規模であれば、ガバナンス(企業統治)と称して、法務部門や顧問弁護士を抱えているケースもある。社長と税理士との個人的なつきあいなど抜きにして、手続的に賠償請求されることもある。
 ただ、会計事務所が負う責任に予め限度を付ける代わりに、報酬を安くさせることもできる。
 たとえば、追徴課税があったも、会計事務所が責任を負うのは年間報酬額1年分を限度とするなど。そうした報酬の決定方法も考えられよう。

 本書では、上記の部分についてあまりインパクトを感じはしなかった。
 それよりも、税務業務をすることができる者を、その根拠とともに紹介している。こちらの方が、中小企業としては使い勝手があるかもしれない。
 個人向けについて紹介すると、青色申告会は、なぜ、税務申告の手伝いをすることができるのか、といった内容だ。法人向けで言えば、商工会、法人会や他の士業の紹介もしている。
 こうした団体の職員であれ、税理士であれ、他の士業であれ、生活のために働いているのであり、作業量・質・責任の重さを勘案すると、今の税理士たちの報酬も不当とは思えない。
 それでも、他と比較した上で納得するということは必要かもしれない。ご関心のある経営者は本書をご一読されてもよいだろう。

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2012/01/30

会社のミスで年金が減額されたら

 会社の責任で、厚生年金の標準報酬月額を実際よりも低く届出されてしまい、予定していた年金を受け取ることができなかったというケースがある。
 なぜ、そういうことをするかと言えば、年金保険料・健康保険料が高いので、標準報酬月額を低めに届け出るのである。
 納めているころは、従業員も社会保険料が低くて済むので、気づかなかったり、知っていても黙認することがある。
 しかし、年金の支給が始まるようになると、会社と元従業員の間でトラブルが生じ、会社が補償金を支給することがある。

 さて、ここで質問。この補償金には、どのような所得税が課税されるだろうか。
1.雑所得(年金と同様)  2.退職所得(退職金と考える)  3.給与(会社から出るから)  4.一時所得(一時にもらうから)

 答は、4の一時所得。
 法的には補償金(損賠賠償金)であって年金ではないので、1.雑所得にはならない。
 同様に、退職金でもない。労働の提供に対して支給するものではないので、給与でもない。
 商売でもない、給料でもない、不動産や株式の売却でもない「一時所得」に該当するものとなる。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490.htm

 一時所得となる収入については、そこから諸経費(交渉にかかった交通費や弁護士費用など)を引き、その残額から特別控除額50万円を引いたものが一時所得となる。しかも、税金の計算の際には、これを2分の1にしてから、税率を乗ずる。

 年金として受け取れば、無税になることが多いので、補償金でもらう方が損だとは思う。会社が、経費削減を理由に保険料を抑えたものであり、示談による場合、そういった会社から補償金を全額もらえるとはあまり期待できない。現実には、税金で損をすることも少ないのではないだろうか。

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2012/01/26

役員の厚生年金保険料が倍に?!

 いやはや、驚きというか、ついに、ここに手を付けたかという感じだ。
 役員の給料にも、サラリーマン控除があるのですが、24年所得税法から、これが制限されることになった。
 これに加え、高額給与を受ける者には、高額の厚生年金保険料が課せられることになりそうだ。

 社会保険(健康保険と厚生年金)については、標準月額報酬を基に各保険料が決められ、それを会社と本人とで折半している。

 社会保障審議会年金部会は、現在の厚生年金・最高標準報酬月額62万円を121万円にアップさせるというのだ。ざっと2倍になるわけだ。
 厚生年金保険料額で言えば、10万円強が20万円弱になる。会社負担の年額が60万円近く増えることになる。

 実は、健康保険の標準報酬月額はもともと121万円(最高の47等級)まである。しかし、厚生年金保険料は62万円(30等級)までしかない。
 その理由は、現役時代の所得格差を老後の年金支給時代にまで引きずらないためということ、あるいは、公的年金として過剰な給付水準にならないように、ということのようだ。
 確かに、元電電公社の職員で、夫婦ともに300万円ずつ受け取っているという話を息子さんから聞いたことがあるが。
 私は国年だけなので、試算すると79万円だそうだ。。。監査法人で給料をもらっていた期間があるが、焼け石に水か。

 試算はこちらでできます。
http://www4.sia.go.jp/cgi/simulate/top.pl
(社会保険庁の試算WEB。社保庁って、年金機構になったのではなかろうか)

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2012/01/23

「金融円滑化法」期限切れ後に破たんするとどうなるか

 金融円滑化法の本当の問題点は、その法律の期限切れ後にあることは1/9の記事「「金融円滑化法」利用後の倒産簿増加中!」で紹介した。


 今ならまだやり直せるかもしれないのに、延命措置で、自分の経営を反省する機会が奪われてしまう。
 人は、自分の失敗を受け入れてからでないと、本当にするべきことに目が行かないものである。

 さて、意外とWEBで紹介されていないのだが、銀行に返済ができなくなったとき、会社はどういう扱いがされるのだろうか。

 保証協会の保証がついている場合は、保証協会が代位弁済(代わりに払ってくれる)をしてくれるので、銀行の腹は痛まないことになっている。
 会社側は、新たに保証協会に金を返すことになる。仕切り直しで、月々の返済額(低くなるだろう)や利率(高くなるのは当然)、返済年数(超ロング)の返済計画を立てさせられる。
 もちろん、完済するまでは、どこの金融機関も新規の融資などしてくれない。だが、死ぬような事態にはならないので、得意な事業分野に絞れば、細々ながらも事業や生活を続けることができる。

 協会保証などがついていないビジネスローンなどは、少々、法律に詳しくないと怖く感じるかもしれない。
 金融機関は、貸出先を相手にして、民事再生法、会社更生法の申し立てをすることは費用もかかるし、時間もかかるので、あまりやりたくない。
 そうした債権については、サービサーと呼ばれる金融債権買取業者に安く売却することになる。債権がサービサーに移ると、回収担当者との間で新たに返済額や利息について交渉することになる。
 ここまでは、保証協会に移った場合でも同じようなものだが、そこで行われる交渉に違いがある。

 サービサーに売却されると、メリットもあるのだ。サービサーは銀行から安く債権を買い取っている。だから、債務者も新しい債権者であるサービサーを相手に、債務を値引きしてもらうことができる可能性がある。もちろん、値引きしてもらわないと、今の収入では払えないという前提が必要である。もちろん、相手が金融機関からいくらで買い取ったのかがわからないので、手探りで交渉することになる。
 一方、デメリットとしては、交渉が成立するまで、継続的に連絡をよこすことだ。サービサーは、自分で買い取った金額以上のお金を回収しないと、サービサー自身が資金不足に陥ってしまうから必死だ。公的資金を入れてもらえる銀行とは違うことに注意しなければならない。
 取り立てが厳しいということで、最初の借入先である銀行にクレームをつける人がいるようだが、銀行としてもサービサーに売却してしまうと、何もできなくなってしまう。

 ちなみに、銀行との契約によっては、ビジネスローンなどでも、債権をサービサーに譲渡することを拒否することができる。
 その場合、メリットとしては、相手が大手であるから安心感があり、その後の交渉も比較的簡単に始められる。デメリットとしては、基本的に債権を値引きしてもらうことはない。

 本当に会社が立ち行かなくなった場合、銀行によって民事再生法や会社更生法の申し立てをされることになるだろう。そのときは、通常、裁判所において、債権の減額交渉が行われ、その時点で、債務を減らしてもらうことになる。
 裁判とは尋常な話ではないが、銀行としては、そこまで決着をつけないと会計上、税務上の処理ができないという事情もあるのだ。

 それだけ手間や暇をかけて救済した挙句に、破産・倒産ということもあるわけで、銀行としては、中小企業に対して、そこまで手間をかけたくはないだろう。大企業ならば、天下り先のひとつにもできるだろうが。
 だから、通常の借用証書には、サービサーに譲渡されることが記載されており、説明もされているそうだ。それでも、クレーム原因になりやすいので、サービサーに譲渡する際に承諾をとるようだ。

 いずれにしても、完済するまで新規融資を受けられない。サービサーの弁済期限は10年以下と短く、やり直しがきくかもしれない。保証協会は何十年でも設定してくれるようだが、現役時代に再起することは難しいかもしれない。どちらがよいかは、一概には言えない。


債権回収担当者のブログ
http://loanmaster.seesaa.net/category/2623136-1.html
 ↑面識のない人のブログなので、積極的に紹介するわけではありませんが、内容はもっともな話が書かれていると思います。やはり、金を借りている人に連絡がとれなくなること一番よくないようですね、当然ながら。

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2012/01/19

横領されたお金は、損金にならない?!

 会社で従業員による横領事件が起き、横領されたお金が返ってこない場合、この損害は税務上の損失になるだろうか。
 答えは、すぐにはならない。

 法的にみると、会社は横領されたお金について、従業員に対して、損害賠償請求権を持つことになる。
 会計的にみると、確かに横領されたお金は損失となるが、同時に、損害賠償請求額が雑益(未収だけど)となる。つまり、プラスマイナス・ゼロとなって、税金は減らないのだ。

 税務署からの通達によると、他の者から支払いを受ける損害賠償金は、その支払いを受けた日の属する事業年度の益金に算入することとされている。
 つまり、会社が他人によってお金を盗まれたら、その年度に損失を計上する。その年の税金は減る。翌年度に保険会社から補償金が入れば、翌年度に雑益を計上し、税金を納めることになる。ある意味、お金が無くなった間、税金が資金繰りを助けることになる。

 しかし、他人が社内の人間である場合には、この通達の適用は受かられず、未収金として資産に計上され、損失として費用に計上されないのである。
 あとは、その従業員に早く返金してもら他ないのである。すぐに返してくれればまだいいが、そのまま収監されてしまい、返済どころではなくなることもある。その場合、裁判や破産宣告の有無を追いながら、損失処理できる機会をうかがうことになる。

 横領するのは悪いが、させるような運営組織になっていることにも問題がある。
 もっとも、税務調査の結果、横領が判明することが意外と多いのだから、社長さんも痛しかゆしだ。

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2012/01/16

書籍・社長!あなたの給料、下げちゃダメですよ!

社長!あなたの給料、下げちゃダメですよ!
坂本 千足 著、あっぷる出版 ¥1,575円

 タイトルで買ってしまいました。
 タイトルは、役員報酬の定額支給の論点でした。個人的には、がっかり。

 ただ、本書は、税金や会計をわかろうとしているけど、理解できないとおっしゃる経営者に向いていると思う。
 数字や図表も使わず、言葉だけでリクツを説明しとおした一冊。

 専門家やコンサルタントが経営者に税金を説明するときに、引用できそう。メルマガ発行のねた本としても使えるだろう。

 内容としては、基本的な法人税の仕組みや特例、非課税所得について説明してあるだけだ。
 勉強したことのある人ならば、箇条書きになっているような節税本の方が使いやすいだろう。専門家などにとっては、目新しいことはないので面白くもない。

 経営者の方で、顧問税理士が税金の説明をしてくれているのだけど、よくわからない。。。という方がいらっしゃったら、お勧めの一冊だ。

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2012/01/15

書籍 あらゆる領収書は経費で落とせる


 中央公論社というメジャーなところから発刊されたからか、amazonでは酷評が続いたようです。
 私としては、著者の主旨は「会計処理、税務処理するなら、きちんと理屈や根拠も準備しておきましょう」と書いてあるように受け取っています。

 会社規模にかかわらず、歴史が長い会社、人が多い会社では、惰性で会計処理している事例が多々あります。担当者は、コンピューター画面の指定枠に数字を打ち込んでいるだけということが珍しくありません。

 税法だけでなく、経済法と呼ばれるものだけでも会社に関係する法律はいくつもあるわけで、事業体は多々規制を受けています。昨今、公開企業は、警視庁財務捜査課や検察庁、公取委、金融庁、労基署から直接調べを受けることが増えています。結果として、一方的に行政に押し切られている例も少なくありません。
 事業体として、営業活動や会社財産を守ろうとするならば、役所との論争に勝てるだけの論拠を準備しておいてしかるべきです。見解の相違ということもありますが、方に関与する人たちの間では、法制定時分から、どのあたりがグレーゾーンなのかについても知られており、最悪の場合の対策も講じてしかるべきでしょう。

 中小会社の場合、税務署の調査を受ける可能性はどの会社にも多分にあります。他にも保健所の調査も定期的にあるでしょう。
 そうしたとき、事業者は、法基準を遵守しつつ、自分の意思を明確にし、主張根拠を証憑として残すという行動を行うべきと思います。そうすることで、事業体を守ることができるからです。放っておいて言いなりになるのでは、会社資産、社長の財産など守れません。
 逆に言えば、根拠をしっかり明示することで、税務署も安易に課税してくることはできません。著者が納税者憲章を重んじてくれているかどうかまではわかりませんが、154ページで、現場における納税者重視の一場面も著してくれています。

 教養としての税務会計を知りたい人には不向きかもしれませんが、中小企業・同族企業の現場担当者にはお勧めの本です。実際に取り入れるには度胸がいるものもありますが、著者の主旨をとらえつつ、自社の証憑書類の見直しをするヒントが得られると思います。

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2012/01/12

会計検査院 税金ムダ遣い白書

会計検査院 平成22年度検査報告書 通称・税金ムダ遣い白書が、2011年11月24日に公表された。
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/all/index.html

 面白いのが、4章5節に「国民の関心の高い事項等に関する検査状況」というものがある。どういう基準で選んだのだろうかと思えば、国会などで話題になった補助金や埋蔵金に関する報告だ。

 概要としては、不当な支出の4割が厚生労働省のものであること。予算が大きいので当然なのだが、旧社会保険庁の印象があまりにも悪く、全体的にムダ遣いが多い印象がある。
 第2位は国土交通省。以前は、建設省が1位だったこともあったように記憶しているが、未だに多額のムダ認定を受けている。

 財務省も指摘を受けている。税金の徴収で、納税者の申告ミスを税務当局が見逃したというもの。100人近くから2億6000万円の取り漏れがあったとのこと。
 何の税金かと思いきや、法人税が多かった。69件で1億8000万円。法人部門で申告ミスを逃したというのは少々いただけないと思う。

 法人部門は、税務職員の中でもそこそこのレベルの人たちが集まっていて、過去の情報も充実している。基礎的な手続きを追っていけば、異常値に当たりそうなものだが。
 ある税務署OBによれば、2000年ごろまでは職員の採用を絞っていたということなので、中堅調査官の人数が不足していることになる。その結果が、会計検査院の報告結果につながっているのかもしれない。

 事業者側もそうなのだが、ビジネスの本質を考えずに、日々の仕事に流されている人が多い。そういった中で、調査官の中で、ビジネス(モノとカネの流れ)に加え、税法、税務訴訟も理解しているような調査官がどれだけ確保できるのだろうか。

 税理士としても一長一短だ。有能な調査官が少なければ、調査を受ける可能性も低く、調査現場での議論も楽勝だ。
 だが、法律や理論が通らないような調査官に当たる可能性もある。ツーカーで話が通じないわけだ。そういう場合は、こちら側が、説得して、納得させつつ調査をリードしてやる必要が出てくる。
 そうした調査官に対応するためには、まずは、、社内書類を充実させ、整理しておく必要がある。

 調査における議論は、「書面からスタートさせる」と覚えておいてほしい。
 調査で議論になる内容は、会社でも税法でもはっきり決まっていない場面から始まるからだ。たとえば、会社の携帯電話・ノートパソコン・自家用車について、社長が私用にも使っているが、個人はいくら負担すべきか。SOHOなら家賃や電気代の按分も議論に上がる。
 大きな金額で言えば、土地が崩れてしまい、修繕したが、その費用は修理費でよいのか、土地の価額に加算すべきなのか。これなどは、費用と資産計上の境目が明確に決められていないのである。

 何も基準や取決めがない場合、調査官と社長とで、声の大きい方が勝つ、あるいは、粘った方が勝つことがある。特に、事業者にとって、粘られると仕事に支障がでるので、不利だ。
 だが、自分が作った書面からスタートさせることができれば、会社側がリードしていくことができる。すなわち、総会議事録、役員議事録、稟議書、各種規程だ。
 そうすれば、会社としての意思を明示できる。もちろん、理論的に武装されていることは言うまでもないが。調査官は、その理論武装された紙面を見ながら、その場で結論を出さなくてはならない。もちろん、経験の浅い調査官にはできないことだ(謙虚で真面目な調査官は、翌日までに調べてくることもある)。

 先方も、取れそうもないとわかったら、さっさと取れそうな会社に向かうので、まずは、調査対策をしている会社だと印象を与えておこう。

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2012/01/11

君は1万円札を破れるか? 苫米地英人・著

君は1万円札を破れるか? 苫米地英人著

 おおむね、米国やIMF、ロックフェラー、ロスチャイルド一族への批判に終
始している点は、既刊本の焼き直しに見える。

 情報には発信者と受信者がいて、初めて発信内容が情報になるという件は面白
かった(既刊本にもあるかもしれないが、記憶にない)。
 お金も情報のひとつで、抽象的な「価値」を貨幣に化体させたと論じている。
お金は情報を形にしたもの、という表現が新しいかもしれない。

 通貨発行機関(日本なら日銀)が、世の中には価値というものがあって、貯め
たり、物と交換することができますよ、という内容を発信する。
 国民がその内容を受信する(受容する、信じる)ことで、情報が成り立つ。
 そこで、物理的な物にすることで、扱いやすくなるし、信じやすくなるので、
お金という物で価値を具体的に表しているといった説明がある。
 確かに、経済学のテキストでは、貨幣は、信用を化体した物だという言われ方
がされている。

 と言うことは、物としてのお金は残るものの、価値が消えうせる可能性もある
ということだ。
 著者の表現の仕方は、国が国民を信用させている(だましている)かのような
言いっぷりだが、高度成長期以降、日本を米国と同様な消費大国に導く上では、
この手法が上手く効いたのかもしれない。

 ちょっと疑問に思ったのは、今後の投資は「物」にしろという件だ。
 ドル、ユーロともに暴落するという予想に基づいて、諸外国でインフレ基調が
訪れると主張している。だから、わざわざ円を外貨にするなと結論付けている。
そこまでは、私も同意見であるが、投資するならば、物が良いと勧めている点に
根拠不足を感じる。さらには、借金をも恐れず投資、起業せよとある。
 インフレを前提とするならば、物の価値は貨幣に対して相対的に高くなり、担
保力も増し、結果、借金も目減りする。
 勝間和代、森永卓郎あたりも、マネタリーを増やしてインフレに導き、景況感
(財産価値が上がって財布の紐を緩ませろ)を創出せよという主張を繰り返して
いる。
 だが、選挙に行く高齢者らは、多額の貯金・生保積立金が目減りするようなイ
ンフレ政策を歓迎していない。果たして、著者の言うように、日本でインフレが
発生するかどうかについては、具体的な根拠が不足するように思われる。

 それに、諸外国の経済的な復活の可能性を一切想定していないことにも、根拠
不足のようにも思う。
 最近、インドは数学ができるだけでなく、商売も上手である、という話を貿易
をしている華僑から聞いた。
 経済評論家の中には、インドのカースト制度が経済発展を妨げるという説を唱
える者もいるが、一部のエリートが経済政策、大企業経営を掌握していることは、
どこの国でも同様だ。安易に他国の経済を予想することはできない。
 事実、20年前、上場企業の管理職らと話をする機会があったが、中国はまだま
だ、自分たちが死ぬまでに発展するかどうかもわからない、などと言われていた
のだ。
 頭脳明晰な著者とて、インド、中東、アフリカの将来などを安易に予想するこ
とはできないだろう。それとも、秘密情報を把握しつつ非公開にしているのか。

 一般的な庶民の生き方としては、投資よりも、日々、収入を得られるような体
制をとっておくことだ。貯金、スキル、学習、家族・親族(という名のセーフティー
ネット)、コミュニティー(経済的、趣味的、地域的)などに対し、マメに配慮
するなり、コツコツ磨きをかけておくことだろう。
 「どうなるかわからない世の中になった」ということを認識し、長期的ビジョ
ンをもちながら、短期的な戦術をも見誤らないことに生き抜くコツがあるように
思う。
 ビジネス上で具体的な方策を挙げれば、長期的投資を控え、個々人のスキルを
コツコツ磨き、ネットワークをマメにメンテナンスするといったところだろうか。

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2012/01/09

「金融円滑化法」利用後の倒産増加中

 帝国データバンクの調べによると、金融円滑化法を受けた後に倒産した件数が、2011年1月~10月で142件となり、2010年1月~12月の1年間の件数23件の6倍になったとのこと(出典:NP通信、月刊・社長のミカタ)。

 多い業種は製造業、建設業で、原因は業績不振が8割に上るそうだ。
 金融円滑化法(いわゆるモラトリアム法)が2009年12月に施行されてから2年が経ち、30万社が利用したとみられている。
 主な倒産原因が業績不振ということであれば、単なる延命措置だったということになる。

 借入条件変更(いわゆるリスケジュール、リスケ)を行うときには、改善計画を会社から金融機関に提出するわけだが、結局、経営が計画通りに進んでいないことがわかる。
 私もリスケに関与したが、そもそもの改善計画の内容について、金融機関はノーチェックである。
 金融機関に各社の業態を把握できる行員がいないこと、(ケースによっては)積極的に回収するほどではないこと、金融庁からのお達しで貸さないときは理由を報告しろと言われているからだ。
 金融機関としては、利息収入が上がれば、給料やボーナスを出すことができるし、貸出先が破たんしても、保証協会、保証会社が代位弁済してくれるわけだし、強硬に政府に反発することもないのだろう。

 同法の大きな問題点は、法律の期限が切れたときに、延命措置を受けてきた会社が一度に倒産するということだろう。
 これについては、改めて、雇用創出策を考えなくてはならない。2013年の総選挙の争点となるのだろうか。
 製造業、建設業、旅館業については文字通り壊滅状態となり、労働者が解雇されるのは必至で、その手当が必要になるだろう。
 一方、サービス業については、もともと大人数で、かつ、設備投資をしている事業所が少ないことから、件数は
多いものの、雇用や不良債権としての影響は比較的少ないと思われる。

 思うに、その間、社長さんの年齢は確実に上がってしまう。50歳なら他社の従業員でやり直せても、60歳では再スタートは難しい。結局、破たんへの道を招くことになるのではないだろうか。
 政府の制作については、容易に生活保護に走らせないという意図を感じられるし、働くことの喜びを奪わないように工夫しようとしているのはわかる。が、法律の効力が切れ、突然の貸し剥がしに見舞われた時の中小企業の状況を予想していないようにも思われる。
 中小企業に対しては、改善計画通りに経営を進め、大きく外れた時には、貸し剥がしを覚悟するよう早めに告知した方がよいようにも思うが。
 政治家レベルでは総選挙があるし、現場レベルでは個々のケースに対応できないような気もする。結局、最悪の状態を迎えることになるのであろうか。

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2012/01/04

被災地雇用レポート(中小企業基盤整備機構)

 中小企業基盤機構は調査レポート「被災地域における雇用創出と産業振興について(産業連関分析によるシミュレーションを中心に)」を公開した。
http://www.smrj.go.jp/kikou/earthquake2011/smrj/oct/063771.html

 建設投資の持続性については、2014年~15年には投資規模が2分の1以下に縮小し、その後消滅する見込みのようである。

 一方、製紙業、水産業の再生のほか、高齢者が多いことから、高齢者支援ビジネスが発展しそうとのこと。
 これにともない、ソーシャル・ビジネス、コミュニティ・ビジネスの事業化も期待されるとのことだ。

 公認会計士協会に内閣府から以下のような要請があった。
 今回の災害支援で、寄付金、補助金を集めたNPOがいくつもあったのだが、突然に収入が増えたため、会計処理、寄付者管理が間に合っていないというのである。
 さらに、その使途の適法性、適正性について確かめる手段が手当てされていない。
 そこで、内閣府から公認会計士協会に、NPOに対する臨時的な監査を行ってほしいと要請があった。

 たいていのNPO法人は、会計士による監査を受けるための書類を準備していないし、事務系の人員も充実していない。そうしたところで、寄付金や補助金の使い道が適正であったかどうかの監査を行うことになる。

 NPO法人としては、けっこうストレスがかかるとは思うが、会計士監査によって、きちんとした内部統制づくりができれば、結果として、上記のコミュニティ・ビジネスの下地ができるのではないだろうか。
 ガバナンス(会計制度・法律の遵守)の構築、名簿(被災者、ボランティア、業者)整備にITを加えることで、立派な事業化が見込まれる。
 ちょうど、NPO法人に関する寄付金控除制度(認定NPO法人)の改正が2012年4月1日から施行されるので、これも後押しになりうるだろう。

 現代の日本では、製造業からサービス業へ、輸出国から内需国への産業構造の転換が図られている。
 災害により、東北地方の産業は、一気にその構造を破壊(スクラップ)され、新たに構築(ビルド)を進めることとなった。
 津波による瓦礫、泥の処理に半年単位の時間がかかるため、復興には時間がかかるものの、スクラップ・アンド・ビルドの観点から今後の東北地方の復興をみることは、日本全体の将来を見ることにもなるだろう。

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