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2009/06/26

第22回 法人部門の調査官

第22回 法人部門の調査官

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(2)法人部門の調査官
 さて、法人税については、法人部門が担当することになるわけですが、早い話、
税務署の中でも有能な人たちの集まりと考えておいていいでしょう。
 さらに、IT化が進んでいますので、資料の管理や分析は簡単にすることがで
きます。
 いわば、調査官側においては鬼に金棒という状況ではあります。

 とは言っても、調査の際、特官のような超ベテランが来るのは、相当複雑な取
引をしている場合か、税法自体に議論の余地がある場合と考えておけばよいでしょ
う。
 たいていの場合、普通の調査官が来ます。この普通というのが、お伝えしにく
いところですが。
 彼らは、最初は笑顔で世間話をしながら、社長や会社の概況を把握していきま
す。その中で、間違いがわかることもありますし、そうでなかければ、間違いが
よく見つかる部分に焦点を絞っていきます。
 調査の方針が定まると、順次質問や資料請求を繰り出し、謀ったように手際よ
く調査を進めていきます。

 会社の監査部門に似ていると言いたいのですが、監査部門がある会社は稀なの
で、他の例で言えば、外資系の生命保険の外交員に近い感じがします。
 家族構成から、将来の夢、例えば、住宅、車、教育に必要な資金需要を聞きだ
すまでは、非常にアットホームな感じです。
 しかし、それを聞いてしまえば、外交員がその場で携帯しているパソコンの上
に、夢に合わせた保険の提案書が映し出されてしまいます。
 それを見ながら、内容の確認を行い、納得したところで、契約に話をもってい
くという感じです。
 こうした流れを作られては、契約を拒否する理由が見つからなくなってしまい
ます。

 調査も同様で、会社の状況を把握した調査官は、その状況に基づいた調査をす
ると追徴課税できそうだと思われる取引に目当てをつけます。
 そして、差額を発見すると、内容確認を行い、納得させ、修正申告の約束をさ
せるわけです。
 もっとも、調査官がこうした流れを創り出すには、それなりの勉強と場数が必
要になります。
 他の税理士とも話すのですが、そういった調査官が減っているのが実情のよう
です。
 調査官もコミュニケーション下手といったところでしょうか。

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2009/06/12

第21回 調査官はどういう人か

第21回 調査官はどういう人か

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(1)調査官の概要
 調査官は税務署職員希望者のための試験を受け、合格者の中から採用されます。
 マルサの人たちは、国税専門官の試験を受けます。
 このほかに、財務省で採用された人が、短期間、税務署長になることがありま
すが、彼らは基本的に調査には係わりません。

 税務署の調査官について言えば、採用後、税務大学校に入り、研修を受けます。
 その後、法人税部門、個人部門、資産税部門、その他管理部門に配属されます。
 その割合は、だいたいですが、4:3:2:1です。
 ここで少し部門についてお話しましょう。

 法人税についてですが、源泉徴収担当も含まれるのですが、この部門に全体の
4割しか配属されません。
 でも、この人たちは、署内でも有能と目される人たちです。
 やはり、納税額や調査対象の規模が大きいからでしょう。国のために働いてい
るという感じがするのでしょう。

 ただ、1件ずつの金額が大きいということで負けていないのが資産税部門です。
 担当する税目は、相続税・贈与税、譲渡所得税です。土地や株式等を売ったと
きの申告といったものを担当する部門です。
 数が少ないので、総額としては小さいのですが、特例なども多く、相談件数は
かなり多い部門です。
 もちろん、署内でも頭のいい人たちの集団とされています。

 そして、通常の個人部門。年金やアパート経営、個人で商売をされている人た
ちなどを対象にしている部門です。
 件数は多いものの、1件当たりの申告額が小さく、また、個人相手なので、さ
ほど複雑な制度が盛り込まれていません。
 また、特例によって、大きく減税されることもあり、どちらかというと、税務
署としてはあまりおいしくない部門です。

 そして、あまり調査官や相談員に向いていないと思われる人が配属される部門
があり、管理部門と徴収部門です。
 銀行などから回ってきた税金の納付書を集めて管理するのが管理部門や、未払
いの納税者に問い合わせ文書を出したり、延滞税の計算をするのが徴収部門です。
 税務署にもこうした部門があり、正規職員がいます。

 法人、個人、資産の部門には、さらに、いくつかの部門が設定されていていま
す。
 例えば、法人第一部門というように呼ばれています。
 そこには、課長級の上席がいます。その上に、部門長がいて、その上に担当副
所長がいて、税務署長がいるわけです。
 大きな税務署ですと、副所長と同格とされている特官と呼ばれる特別調査官が
いることもあります。
 非常に調査技術が高いものの、管理職に向いていない人が、この特官になるよ
うです。

 ここまで細かく知らなくてもいいのですが、税務署には法人部門と個人部門が
あることだけは知っておきましょう。
 調査の連絡が入ったとき、会社の調査なのか、社長個人の調査なのかがわかり
ます。
 ここのところがわからないと、顧問税理士との打合せでも、何の調査かわから
ず対策が打てません。
 必ず、担当部門と担当者、そして、電話番号を聞くようにしてください。

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2009/06/02

『社長の仕事』~中小企業のBSC導入について

『社長の仕事』TKC全国会 1,800円 040803発行

バランス・スコアカードの紹介本。巻末に7社の戦略マップとバランス・スコアカードの事例が掲載されていて、イメージをつかみやすくて、便利。

【概要】
バランス・スコア・カード(以下、BSC)の本を何冊か通読したことがあるが、まるっきりイメージをつかめなかった。
本書では、比較的わかりやすく書かれていた。やはり、中小企業の社長さん、親父さん向けに書かれた本だからだろうか。

バランス・スコアカード経営の5原則
原則1:戦略を、現場で実行可能な言葉に翻訳する。(暗黙知の表出化)
原則2:戦略に向かって、組織全体を方向付ける。(タテの因果関係)
原則3:戦略を、すべての社員の日常業務に落とし込む。(ヨコの因果関係)
原則4:原則を、継続的な業績管理プロセスの中に組み込む。(形式知の統合化)
原則5:経営トップのリーダーシップにより、変革を促す。(形式知の内面化)

Balanced Scorecard Collaborative Homepage
Principle1:Translate the Strategy Operational Terms.
Align the Organization of the Strategy.
Make Strategy Everyone's Everyday job.
Make Strategy a Continual Process.
Mobilize Change through Executive Leadership.

【SOX法と似ている】
この原則を眺めていて気づいたのだが、J-SOX法の導入と似ているなと。
暗黙知に近い業務プロセスを文書化し、その運用結果を上司に、経営者に報告する。
全員で考える土壌ができたところに、経営者が報告に基づいて改善命令を下す。

もともとは、従前の経営戦略が会社全体に浸透せず、社員の意識に上らず、モチベーション向上にもつながらなかったという反省から、バランス・スコア・カードなるものが登場したらしい。

15年ほど前、日本の監査法人において、外国の監査法人と提携するにあたり、外国の監査マニュアルを導入していた。
現在では、一般的に内部統制監査マニュアルとしても用いられているものだが、この導入に伴い、昔ながらの「技を盗め」という文化が失われてきた。
株式公開ブームもあり、とてもじゃないが、先輩が後輩の面倒を見ている暇が無かったのに加え、監査マニュアルの導入により、技の伝授がされにくくなった。

その結果として何が起こったかというと、「考えない専門家」「規則だからダメという専門家」が増えた。

いわば、合目的性よりも合規性重視の専門家が増えた。
会計規則は法定化されていることから、会計士の立場としては、会社に規則に沿うよう指導することになる。
とは言え、どの程度沿うかについては、結局のところ、経営者、株主、債権者といった利害関係者の調整を考えながら、それぞれに利益や面子を損なわないように会計士が誘導していくことに、会計士の腕の優劣なり、クライアントとの信頼関係ががあったように思う。
しかし、合規性重視となると、官僚と同じで、規則に沿ってないからダメ!で終わりである。融通が利かないのである。

現在の監査市場では、上場企業廃止起業の監査が増えている。引き合いのある会計士は監査法人ではなく、融通の利く個人だ。
単発仕事が多いものの、監査法人並みに1千万円単位で報酬を得られる。しかも、上場廃止後の会社だから監査人としての責任・リスクも相対的に低い。
割のいい仕事とまでは言わないが、やはり、社会的にも意義があり、報酬もよい。
マニュアル重視で考えていたら、社内がガタガタの会社の監査を引き受ける時点で、マニュアルに抵触する可能性が高い。つまり、マニュアル主義の会計士では引き受けられない仕事である。

【普及は難しい】
さて、BSCの導入や普及についてだが、これは難しいだろう。というより、必要なのだろうか。
日本の中小企業では簡単な事業計画や予算を立てることすら普及していないし、何とか生きながらえている。
そのような状況において、また、環境変化が激しいと言われている現代に、BSCを導入しようと謳っているのはおかしくもある。

経営者が会社の将来を考える前に、社員に何らかを浸透させるBSCを導入させようとして、何を伝えるのだろうか。その段階で、すでに社長自身がマニュアル化してしまていると言える。
BSCは、社員が自発的に環境に適応できるようになっているとはいうものの、その社員を評価する経営者はどうなのだろうか。自分を超えて提案したり運営するような社員が出てきても適正な評価ができるのだろうか。
おそらく、できないだろう。その時点で、その会社の成長は止まる。
もっとも、そういった会社の経営者は、意外に自分の能力を知っていて、「成長あるのみ」などとは言わない。まあ、その時点で成長が止まっているのだが。

一般に言えることだが、中小企業の経営者は世間の反対を考えたほうがうまくいくように思う。
「BSC」と言われれば、「匠の技」とか「技の伝承こそが企業成長のカギ」といった反対のスローガンを掲げていただきたい。
そもそもブームに発展するきっかけ、あるいは、牽引力というのは、「現実逃避」「もっと簡単にうまくいく方法がないかなぁ」という気持ちであることが多い。

勝間和代のブームだって、彼女のツールが本の中で公開されたことでブームに火がついた。失礼ながら、彼女の容姿や業務実績に注目されているわけではない。女性の大手外資系コンサルタントは他にも大勢いるのだから。
自分もこれがあればミリオネラーまでいかなくても、軽く年収が2千万円、3千万円いくだろうという夢を描かせたのだ。
そのとおりになるなら、日本人はもっと英語ペラペラで、モデルのような均整の取れた体つきになっているだろう。その手のツールは山ほど出ている。

ブームになったキーワードを書名の中に見かけると、巷の中小企業の親父さんの方が、よほど冷静に自分の能力を把握し、慎重に行動しているようにも見えるのが不思議だ。

【おわりに】
というわけで、この本からは、マニュアル主義時代は続いているなぁという感想を得た。
ただ、巻末の具体的な戦略マップやBSCに出てくるキーワードは、物事を考えるきっかけとしては有効だ。
図書館などで見ることができれば、巻末をコピーして思考のきっかけとして使うといい。

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