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2009/07/24

第24回 税務捜査を受けるときの心の準備

第24回 税務捜査を受けるときの心の準備

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(1)正々堂々と

 事前に内偵調査でもされている場合は、会社のどの取引を捜査するかを決めて
きますが、大方の調査の場合、そういったことはありません。
 調査官には税暦票というファイルがあり、そこには、過去の売上・利益・税額
、調査結果(脱税とか修正もれの経緯など)が書かれています。

 税務調査では朝10時にくれば、正午までに、どのあたりを調べるかについて見
当をつけます。
 新人研修みたいなものだと、ざっと財務分析して、年度比較、月次推移をとっ
たりします。
 急な数字の増減があれば、その理由を追及すると、たいていの場合、申告漏れ
や見解の違い、処理間違いを発見していくことができます。

 でも、中堅・ベテランは、まず、税理士の仕事状況を見ます。具体的には次に
ような感じです。

①年度比較して著しい増減がないこと
②領収証、規則集、議事録、注文書、取引メモなどが秩序整然と並んでいる
③決算処理を毎年定型的に、規則的に行われていること
④税務調査への対応が早い

 つまり、きちんとした税理士なら、決算書を作成するとき、著しい増減がしょ
うじていないかどうか、財務分析などには気を配っています。したがって、そこ
から何かが見つかることについては期待していません。

 では、調査官は現場にきて何をするかと言うと、世間話。
 これは会計士による外部監査でも行われる方法なのですが、ここ2、3年間の
業績や、事業展開、組織や役員など人員の「変動」を聞いていきます。
 特に事業展開や組織の再編などがあれば、固定資産や役員報酬に変化がありま
す。
 特に、こういったたまにしかない変動については、会計処理のミスや税務上の
見解の相違などが入りやすくなります。


 また、中小企業だと、代表取締役、たいてい、社長と呼ばれている人の個人的
な話を何気なく聞いてきます。
 趣味だとか、取引金融機関や家族が何をしているかなど。
 趣味で会社の車を乗り回しているとか、常勤取締役にして給料を払っている長
男が留学中で実は働いていないとか、ネット販売のために個人口座を作っている
とか。追徴課税へのヒントを探ってきます。
 個人の銀行口座については、銀行も税務署に協力しすぎるとして批判されてい
るところではあります。
 調査官が、調査前に銀行から、通帳の出し入れの記録を取り寄せていることが
あります。会社や自宅の周辺の銀行支店に当たりをつけて、反面調査に行ってい
るのです。
 確かに、個人口座に通信販売分の売上を振り込ませたり、知り合いに売ったと
きはそこに送金してもらうという社長さんもいます。また、団体役員には、保険
などの事務取扱手数料を個人口座に振り込ませる人もいます。
 そうした人がいますので、税務署としては口座を調べるわけです。調査のとき
は、事前に調べているとは言わず、個人口座に売上は入っていませんよねなどと、
カマをかけてきます。個人の銀行口座や株式口座に話が及んだときは、すでに調
べてあるなと思ってください。もちろん、脱税していなければ、心配いりません。


 そして、意外なのが、伝票をぱらぱらめくること。
 未だにそんなことやってるのか、などとベテラン税理士は辟易するところなの
ですが、実は、けっこう不正や間違いをみつけるのに有効な手段なのです。
 「こんな領収書あるわけないだろう」とか「こんな契約をなぜするの」とベテ
ランならではのパターン認識による直感が働いてくるわけです。
 帳簿だけでなく、伝票の整理も大切なのです。

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2009/07/10

第23回 今どきの調査官

第23回 今どきの調査官

音声ファイル
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(3)今どきの調査官
 最近、税理士の間でも、調査官の質について話題になっていることが2つあり
ます。
 その一つが、調査官が税理士とのやりとりを上手にできないということです。
 以前は、各調査官も何らかの形で地元の税理士と交流する機会がありました。
宴会の席という意味ではなく、囲碁や野球の対戦とういものもありました。

 また、税務署の建物の中での無料確定申告というのも無くなってしまいました。
 やり方を慎重にしないと国家公務員倫理規定違反に問われるおそれがあるので、
こうした行事やイベントは廃止した方が無難になっているわけです。

 そのために、調査官が社長に陪席している税理士にどうやって声を掛けたり、
駆け引きをしたり、指摘事項について同意を得たらよいのか、コミュニケーショ
ンのやり方に右往左往しています。
 確かに、本来、社長を相手に調査をするものが、社長+顧問税理士なのだから、
単純にコミュニケーションをとるのもややこしいものです。
 その上、顧問税理士の顔もそれなりに立てないと、徹底的に抵抗され、不服申
し立てや税務訴訟に流れてしまう可能性もあります。

 調査官としては、面倒なことになるより、修正申告してもらって、罰金を払っ
てもらうのが一番成績があがるわけです。
 調査開始直後の数時間で、ある程度の人間関係を作りつつ、会社の情報を得て
いかなければならないのですから、それなりの技術や場数が必要になります。

 もう一つが、嘱託の調査官です。
 こちらについては、税理士としてはやりやすいとも言えます。
 森・元首相のe-Japan構想で、署内のコンピュータ化も進み、電子申告の普及
率も上がってきているところです。
 そのためなのか、人口減少のためなのか、予算削減のためなのか、税務署も職
員を減らしています。
 そのような中、調査技術の高い調査官に辞められると、各税務署としての実績
が下がってしまいます。
 そこで、退職した調査官を嘱託で延長して雇用するのです。

 この点は、メーカーの熟練工と同じ事情で、税務署でも課題となっています。
 しかし、技術は高いと言っても、そこは公務員。結局、昇給や昇進などの評価
がないとモチベーションが上がりません。

 また、申告是認してもプレッシャーがかからない立場では、文字通り、血眼に
なって間違いを探そうという気にもなりません。
 相当に調査というものが好きな人でなければ、その能力の100%を駆使して、追
徴課税をとってこようとはならないものです。
 こういう調査官には、静かにお帰りいただくのが一番です。

 どういった調査官であるかを見抜き、駆け引きをして、いかに追徴課税や罰金
を少なく抑えられるかは、顧問税理士や社長の知識や経験、鑑識眼がものを言う
部分でしょう。

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