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2017/02/27

だれが幸運をつかむのか 山 泰幸 著


 20年前くらいから昔話の「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。。。」の書き出しがどういう意味を持つのだろうか、気になっていた。
 心理学者の本などでは、異空間へいざなうための決まり文句だとのことでしたが、部分的にしか納得できずにいた。
 本書では、この疑問にひとつの答えを提供してくれた。

 桃太郎や傘地蔵、蛇婿入、鶴女房、洟たれ小僧、花咲爺さんを例にとりながら、昔話の構造の構造として、子ども・富の欠乏・充足、無償贈与・そのお返し、犬(動物)からの施し・それに対する侮辱された感の組み合わせを提示している。

 著者の整理によれば、次の3人が幸運をつかむとのことである。
1)身近な人からの純粋贈与を受けることで幸運をつかむタイプ
2)見知らぬ人からの純粋贈与に気づいて、そのことにつねに感謝を示しながら生きることで、幸運をつかむタイプ
3)見知らぬ人からの純粋贈与に気づかずに、自らの才覚で幸運をつかむタイプ

 もっとも、程度の差はあれども誰でもこの3つの側面を持っているので、3つの人物像を手掛かりに自分自身の生き方やコミュニケーションを見直してみるのも幸運をつかむヒントになるのではないかと提案して締めくくっている。


 自分自身を見直してみるというのは、内観とでもいうか、自己啓発を促すようである。そのような活かし方もぜひ試みたいと思う。
 ただ、今回は、昔話の含意を知りたかったので、そのあたりについて、1点触れておきたいと思う。
 子どもが傘地蔵の読み聞かせを聞いても、「どうして苧環を傘に替えたのか?」「どうして地蔵に傘をかぶせるような無駄なことをしたの?」「どうして傘がひとつ足りないの?」「どうして爺さんの家の場所がわかったの?」と感じるこことはほぼなかろう。よいことをしたら恩返しがあるよ、くらいの物語になってしまう。
 10回も20回も聞くとだんだん気づいてくるのかもしれない。あるいは、囲炉裏端で昔話を聞いていたころは、おとなも子どもも混ざって聞いていたのかもしれない。何十回も聞いていると感覚的に周囲の純粋贈与なるものに気づけるようになるのかもしれない。

 まだ現役世代なので、専門書を読むのが優先となるが、易経あたりの繰り返し読みをして、本質を会得することに挑戦してみようかと思う。

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