« 世界の宗教がわかる本 ひろさちや著  | トップページ | 書籍:あきない世傳金と銀(源流編) »

2017/03/13

秩序なき時代の知性

 哲学者や弁護士、学者との対談集。
 全体的にこの対談集は、楽しく読み進めることができた。

 ビジネス書作家の木暮太一氏とは、働くことの経済的な意味について話が展開されている。
 小暮氏は、マルクス経済について勉強するにあたり、自費出版で解説書を作ったという。かなりのバイタリティの持ち主なのだろう。
 その氏が、金持ち父さん貧乏父さんの本を読んで、やはり自分の理解が正しかったと述べている。私も同じように理解していたので、いまさらながらに安心した(正解とは限らないが)。
 佐藤氏はマルクス経済について解説している本があるのだが(資本主義の極意など)、直感的にわかる例示が少ない。マルクス経済と神学に関する本については、具体例が少なく、難解なものが多いように思われる。

 弁護士の水野祐は、デザインやITの知的財産権に強いようだ。
 佐藤氏によれば、AIが進むと公認会計士の仕事はほぼ消え、税務署との交渉の余地がある税理士が残るとか。
 これから弁護士になる人は、芸術やITなど、法律分野以外についての知識がある人の方が業務の専門化ができ、生き残れるだろうという点で、両者が合意していたのが印象深い。

 與那覇潤氏は中国化する日本という本で注目を浴びた新進の歴史学者だ。
 岩波文庫の日本通史を読んだだけで同書を書いたということで、従来の歴史学者と知識は異ならず、単に、ものの見方を変えただけだそうだ。同書では、彼の見方を伝えることもさることながら、事物の見方を変えるだけでかなり理解の仕方が変わり、あるいは、理解が深まるということも伝えたかったそうだ。

 本書を読んでいたら、就職当時を思い出した。平成の初めになるが、監査法人の代表社員と話していたら、彼らは「専門特化した」会計士を求めていると言っていた。ジェネラリストは必要ないと。
 しかしながら、クライアントの不正会計のやりくちを理解するには、質問力だけでなく、多角的な視点と想像力が必要である。
 専門特化するための下地として、やはり、広範な知識・教養を身につけることができれば、専門家になるにしても望ましいと思う。

 そうは言っても、具体的なテーマに直面しないとなかなか勉強する機会もないものではある。
 そんな中、世界の大国の動きに変化が出始めている。自国の利益を優先し、対外的な接触を減らす方向に動き始めているようだ。
 日本は世界の後追いをすることが通常なので、世界の動きの今をどう理解したらよいのだろうかと思いなおしていたところ、昨年には、ビジネスマン向けに世界史や地政学の本が多く売られるようになった。感じることはみな同じなのだろうか。
 そうした書籍の中で、高校の世界史教科書を読み返すことが推奨されたいた。さっそく高校教科書を購入し、目次を見てみた。すると、現在の大国を知る上で必要そうな項目が並んでいることに驚いた。
 国公立大学上位校に合格した人たちは、教科書のコラム欄まで暗記していると聞く。いやはや、社会のスタート地点において、すでに教養面で明らかな差をつけられていたことに今さら気づかされた。
 学習適齢期は過ぎてしまったが、死ぬまでニュースを聞いて楽しむために、歴史教科書を熟読してみようと思った次第である。

|

« 世界の宗教がわかる本 ひろさちや著  | トップページ | 書籍:あきない世傳金と銀(源流編) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38510/64950106

この記事へのトラックバック一覧です: 秩序なき時代の知性:

« 世界の宗教がわかる本 ひろさちや著  | トップページ | 書籍:あきない世傳金と銀(源流編) »