2009/06/02

『社長の仕事』~中小企業のBSC導入について

『社長の仕事』TKC全国会 1,800円 040803発行

バランス・スコアカードの紹介本。巻末に7社の戦略マップとバランス・スコアカードの事例が掲載されていて、イメージをつかみやすくて、便利。

【概要】
バランス・スコア・カード(以下、BSC)の本を何冊か通読したことがあるが、まるっきりイメージをつかめなかった。
本書では、比較的わかりやすく書かれていた。やはり、中小企業の社長さん、親父さん向けに書かれた本だからだろうか。

バランス・スコアカード経営の5原則
原則1:戦略を、現場で実行可能な言葉に翻訳する。(暗黙知の表出化)
原則2:戦略に向かって、組織全体を方向付ける。(タテの因果関係)
原則3:戦略を、すべての社員の日常業務に落とし込む。(ヨコの因果関係)
原則4:原則を、継続的な業績管理プロセスの中に組み込む。(形式知の統合化)
原則5:経営トップのリーダーシップにより、変革を促す。(形式知の内面化)

Balanced Scorecard Collaborative Homepage
Principle1:Translate the Strategy Operational Terms.
Align the Organization of the Strategy.
Make Strategy Everyone's Everyday job.
Make Strategy a Continual Process.
Mobilize Change through Executive Leadership.

【SOX法と似ている】
この原則を眺めていて気づいたのだが、J-SOX法の導入と似ているなと。
暗黙知に近い業務プロセスを文書化し、その運用結果を上司に、経営者に報告する。
全員で考える土壌ができたところに、経営者が報告に基づいて改善命令を下す。

もともとは、従前の経営戦略が会社全体に浸透せず、社員の意識に上らず、モチベーション向上にもつながらなかったという反省から、バランス・スコア・カードなるものが登場したらしい。

15年ほど前、日本の監査法人において、外国の監査法人と提携するにあたり、外国の監査マニュアルを導入していた。
現在では、一般的に内部統制監査マニュアルとしても用いられているものだが、この導入に伴い、昔ながらの「技を盗め」という文化が失われてきた。
株式公開ブームもあり、とてもじゃないが、先輩が後輩の面倒を見ている暇が無かったのに加え、監査マニュアルの導入により、技の伝授がされにくくなった。

その結果として何が起こったかというと、「考えない専門家」「規則だからダメという専門家」が増えた。

いわば、合目的性よりも合規性重視の専門家が増えた。
会計規則は法定化されていることから、会計士の立場としては、会社に規則に沿うよう指導することになる。
とは言え、どの程度沿うかについては、結局のところ、経営者、株主、債権者といった利害関係者の調整を考えながら、それぞれに利益や面子を損なわないように会計士が誘導していくことに、会計士の腕の優劣なり、クライアントとの信頼関係ががあったように思う。
しかし、合規性重視となると、官僚と同じで、規則に沿ってないからダメ!で終わりである。融通が利かないのである。

現在の監査市場では、上場企業廃止起業の監査が増えている。引き合いのある会計士は監査法人ではなく、融通の利く個人だ。
単発仕事が多いものの、監査法人並みに1千万円単位で報酬を得られる。しかも、上場廃止後の会社だから監査人としての責任・リスクも相対的に低い。
割のいい仕事とまでは言わないが、やはり、社会的にも意義があり、報酬もよい。
マニュアル重視で考えていたら、社内がガタガタの会社の監査を引き受ける時点で、マニュアルに抵触する可能性が高い。つまり、マニュアル主義の会計士では引き受けられない仕事である。

【普及は難しい】
さて、BSCの導入や普及についてだが、これは難しいだろう。というより、必要なのだろうか。
日本の中小企業では簡単な事業計画や予算を立てることすら普及していないし、何とか生きながらえている。
そのような状況において、また、環境変化が激しいと言われている現代に、BSCを導入しようと謳っているのはおかしくもある。

経営者が会社の将来を考える前に、社員に何らかを浸透させるBSCを導入させようとして、何を伝えるのだろうか。その段階で、すでに社長自身がマニュアル化してしまていると言える。
BSCは、社員が自発的に環境に適応できるようになっているとはいうものの、その社員を評価する経営者はどうなのだろうか。自分を超えて提案したり運営するような社員が出てきても適正な評価ができるのだろうか。
おそらく、できないだろう。その時点で、その会社の成長は止まる。
もっとも、そういった会社の経営者は、意外に自分の能力を知っていて、「成長あるのみ」などとは言わない。まあ、その時点で成長が止まっているのだが。

一般に言えることだが、中小企業の経営者は世間の反対を考えたほうがうまくいくように思う。
「BSC」と言われれば、「匠の技」とか「技の伝承こそが企業成長のカギ」といった反対のスローガンを掲げていただきたい。
そもそもブームに発展するきっかけ、あるいは、牽引力というのは、「現実逃避」「もっと簡単にうまくいく方法がないかなぁ」という気持ちであることが多い。

勝間和代のブームだって、彼女のツールが本の中で公開されたことでブームに火がついた。失礼ながら、彼女の容姿や業務実績に注目されているわけではない。女性の大手外資系コンサルタントは他にも大勢いるのだから。
自分もこれがあればミリオネラーまでいかなくても、軽く年収が2千万円、3千万円いくだろうという夢を描かせたのだ。
そのとおりになるなら、日本人はもっと英語ペラペラで、モデルのような均整の取れた体つきになっているだろう。その手のツールは山ほど出ている。

ブームになったキーワードを書名の中に見かけると、巷の中小企業の親父さんの方が、よほど冷静に自分の能力を把握し、慎重に行動しているようにも見えるのが不思議だ。

【おわりに】
というわけで、この本からは、マニュアル主義時代は続いているなぁという感想を得た。
ただ、巻末の具体的な戦略マップやBSCに出てくるキーワードは、物事を考えるきっかけとしては有効だ。
図書館などで見ることができれば、巻末をコピーして思考のきっかけとして使うといい。

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2009/05/22

危機を超えて/伊藤元重 ~ 今さらですが伊藤元重を読んで

危機を超えて 伊藤元重 講談社 1,200円 090223発行
読書日:2009.5.1

一言でいえば、世界大不況の中で、日本の不況はどう生じているのかを説いた一冊。

伊藤元重氏といえば、加藤寛氏に並んで、経済学の入門書の大家とも言える人だ。
会計士試験を受験する20年ほど前に読んだ記憶がある。
そういった著者が、最近どんな内容の本を書いているのだろうかと思って読んでみた。
まあ、一般的な経済評論家レベルの内容だったので、ほっとしたような、物足りなような。


印象的な箇所がいくつかあったので、紹介したい。

<金融機関への公的資金の注入>
 これをしないと、預金者の取り付け騒ぎがおきる。銀行は、払い戻しに対応するために貸しはが
しをすることになる。
 消費者のタンス預金と企業による投資抑制が生じ、当然GDPが落ち込み不景気のスパイラルに
突入する。

 アメリカにおける1929年の大恐慌を見ての対策であり、その二の舞になることを避けての行動だ。
 2008年9月のリーマンショックでとった米国の対応、および、日本国内での第二地銀やJA農協
などへの政府支援の態度が功を奏する形となった。

 言われてみればシンプルな内容なのだが、意外とマスコミ報道や経済本では、こうした流れが書
かれていない。
 複雑そうなものを簡単に書くところが、本当の意味での頭のよい人なのだろう。


<消費税を上げても不況にはならない>

 同氏は、日本の不況は、円高修正による面もあるが、それ以上に日本政府の財政不安からくる国
民の将来不安への表れとしている。

 彼自身が58歳であることからも、実感として持っている感情なのだろう。
 確かにそうだと思う。
 リーマンショック以来、宝石や高級腕時計が売れなくなっているのは報道で知るより以前に、
私の周囲でも聞くところである。
 たとえば、ソーシャルダンス・スクールの生徒が急速に減っていることからもわかる。
 ダンス・スクールは、レッスンだけでは済まず、ホテルでの発表会(デモンストレーションと言うらしい)
への参加にあたり、きらびやかな衣装とパーティー券を購入(配布)しなければならない。
 さすがに応援団がひとりもいないというわけにいかないのだろう。

 将来不安が景気回復の障害となっているのであれば、この不安を払拭するには、日本政府の財政
不安が解消されればよいという理屈になる。

 政府の具体策としては、消費税を20%に引き上げることが試算として提示されている。
 同氏によれば、これで将来見通しがつくのであれば、今以上の不景気にはつながらないだろうと
している。

 消費税については、低所得者層への配慮がうたわれるところだが、貯蓄をため込んでいる高額所
得者からも、また、税務署が捕捉しきれない脱税者からも、あまねく徴税できる仕組みであり、必
ずしも悪いとは言えない。
 要は、道具を目的にあわせて上手に使えばよいということだ。

 個人的には、日用品への軽減税率を設定するよりも、定額給付金やら所得税の低率減税などで、
低所得者層に配慮すればよいと考える。
 思うに、消費者が家計の収支を考える上では、どちらの方策でも必要水準までは消費が増えるが
、それ以上は増えず、どんな方法をとっても最終的な一般消費財への消費水準はあまり変わらない
とうからだ。
 消費者は賢く消費行動をする。贅沢品については広告に煽られて衝動買いすることもあるが、日
常の消費については、あまり大きなインパクトを与えることはない。

 逆に、業者側、生産者側において、日用品を作った方が儲かるというような思考に陥れさせない
ようにした方がよいだろう。
 結局のところ、薄利多売で利益を稼ぐのは厳しく、その結果、研究開発分野が立ち遅れる可能性
がある。

 日本は技術立国でしか生きていけないのだから、電気、機械はもとより、特に今後の特許競争が
激化する農業や医薬、化学の世界で十分に研究開発費を確保できるよう配慮する必要がある。
 また、日用品ではない部分に環境産業、いわゆるエコ商品が数多く含まれている点にも配慮しな
くてはならない。
 つまり、消費税の軽減税率が適用されない日用品以外の分野では、相対的に消費がされにくくな
る。この分野での研究開発も継続していってもらいたい。
 そういう意味で、消費大国のアメリカや、観光事業や金融市場、あるいは、アジア諸国の下請け
で成り立っているようなEU諸国のマネする必要はないと思うのだ。

 伊藤氏も、医療、住宅、雇用政策、教育・研究という分野は、政府が関与しないと大きな市場に
なりにくいとしている。
 そのため、政府がディマンドサイドを牽引し、市場がサプライサイドを管理すればよいだろうと
いう結論を導いている。
 結局のところ、従来の日本の財政投融資政策を踏襲すればいいという、ケインズ経済学から出て
いないというところか。

 確かに、時代は「剥」の時代。すなわち、張りぼて部分、お化粧部分が剥がれ落ちている時代だ。
 そういう意味で、下手な金融政策をとらず、また、一般投資家(消費者)も実体を知らないような
金融商品に乗せられずに、行動すればいいと言えるのではないだろうか。

 剥がれ落ちた後には、それこそ、文科省が言う「個性」の時代がくるだろう。と言うより、それしかない。
 最後には自分自身が武器になるわけで、自分の特性や特技、強み、価値観、あるいは、自分があ
こがれているものをしっかり意識して、自分の成長をはかればよい。
 しかも、そういったものは、自己啓発セミナーなどで自分探しをするものではなく、日頃の勉強
や仕事、活動の中で、自然に特徴が明らかになってくる。そこを自分で、あるいは、周囲の人から
定期的に聞き取ることを続ければいい。

 みんなが幸せになれるようにと願って、多くのNPO、財団・社団が設立されているが、まずは、
人の世話より自分を知り、自分や家族の面倒をしっかりみてもらいたい。
 自然や他人の世話をするとことは、実は、自分が一番癒される。しかし、その段階に至るには、
まずは、自分自身が一通りの成長や責任を果たして、その御褒美として、他の世話をしたらよい。

 そもそも、生物は、自分の子孫繁栄をしたら命を失うのが常である。
 人間だけだろう。子が成人しても生き残り、自活しなければならないのは。

 確かに、基本的な認識は小学生くらいから身につける必要はあるだろう。たとえば、エコ教育や
金銭教育を小さいころから施しておくなど。
 しかし、非営利活動は、まさにマンパワーが必要だ。子育てを卒業したと自他ともに認められる
段階の人が行えばよい。

 近年、社会起業家ということばが出てきている。
 しかし、本来の個人として、社会の一員としての務めを果たしていない者を集めても、逆に社会
貢献にならないと感じる。
 子孫繁栄の責任から解放された、具体的には、定年退職を迎えたビジネスマンや子育てから解放
された主婦をとりまとめる役割を担うものであろう。
 となれば、若年層による社会起業家は高度なコミュニケーションと老人心理学、貢献分野の専門
知識を持ち合わせている必要がある。

 一見、社会的意義が高そうなだけに、あこがれだけでNPOや社団を設立しても苦労するだけで
ある。
 非営利でも、継続させることができなければ、頼りにしている人たちに対して、結果、迷惑をか
けることになるのだから。

 会社にすると営利目的だから、お金をもらって社会貢献するのはおかしいなどという者がいる。
 しかし、その考え方自体に無理がある。
 どんな形でも他人や人類によいと思われる影響を及ぼせば、それが社会貢献である。
 先行きの資金計画がいい加減で崩壊しそうなNPOや社団を立ち上げるよりも、軽い気持ちで会
社を設立する方が、よっぽど、確実に社会貢献できるだろう。
 結束や管理が中途半端な組織は崩壊しやすい。それにくらべ、零細企業の方が、よっぽどつぶれ
にくいという事実がある。

 そして、税金を多少払うこと。
 前述の金融機関への公的資金注入で、金融恐慌を防いでいる。その原資は当然に税金である。
 企業家であれば、お金の流れが止まれば、事業が立ち行かなくなる。そのための予防線として、
ある程度の税金を納めることは必要だろう。
 税金への知識が高ければ、納める税額を調整できる。つまり、払いすぎる必要はないが、過度な
節税が脱税を招くことも防げるようになる。

★印紙税のウラワザ★
http://www.jiyugaoka.jp/inshi/index.html
★小さな会社の節税ダイエット★
http://www.jiyugaoka.jp/taxdiet/index.html

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2009/05/10

スローシンキング/安藤雅彦著 ~ こういうのもたまにはいいかも

要するに、限られた情報下において、いかに答えを模索するかという話。

カリスマ編集者・土井英司氏のメルマガで知った本。
本は、読む人にとって、役に立ったり、不足だったり、すでに知っている内容だったりする。
土井氏の推薦書はビジネス書中心なのだが、やはり、最近の本は既知の内容であることが多い。
たまに、古典的な経営書を推薦してくれる。どちらかというと、そちらの方が役立つ感じもする。
時代が、本質的なものを求めているから、そう感じるのかもしれないが。

さて、本書では、自然科学における様々な疑問の回答を導くには、かなりの思考する時間や努力が必要だったと述べている。
現代人は、簡単に答を求めるが、結局は身につかないことを指摘している。たとえば、テレビのクイズ番組。その場では、考えた気になるが、答えを聞いた瞬間、すべてを忘れてしまう。

確かに、最近の著者は一般人であり、「答えはこれです」と書いて読みやすくしている。
それを読んで、わかった気になっている人が多い。
自分のビジネスで、実際に適用、応用してみると、突然に自分の経験・蓄積になるのだが、やはり、夢を見たいだけの読者が多いのだろう。
ビジネス書を支えているのは、一部のヘビー・ユーザーだということからも納得できる。


印象的な部分があった。
著者は、人生は小さな決断の積み重ね。大きい決断で決まるわけではないので、軌道修正ができると述べている。
当たり前のようだが、昨今、一発勝負で成功できるテクニックを販売したり、そういった本が多く発行されている今となっては、新鮮に感じられる。
著者の言うとおりだと思う。ということは、たいていの場合、一発勝負で成功をつかむということはなく、人生は地道な努力の積み重ねであるということになる。

たしかに、自分の生活に満足している人は、たいてい、自分を知り、地道に積み重ねている人が多いように思う。
ここで言う「自分を知る」とは、自分の性格、価値観、強み、特技、心から大切にしていることなどを認識すること。
そういったものは、何でもいいから目の前の仕事や課題に取り組むと、自らわかってくる、感じてくるものだ。


著書では、人は人を家畜化している、毒の多い環境で生活している、マニュアルを作る人・従う人、など、人間社会で生活する自分たちを一歩離れた視点からコメントをしている。
地球の外から見ると、ちょっと変なことしているんじゃないかとも見えるわけだ。

著者は河合塾の地学講師で、猛烈にがんばっている受験生や卒業生でビジネスマンになった人たちを、側から見てあげる立場にある。
そのためなのだろう、メタフレームとでも言うのだろうか、俯瞰的な視点を提供してくれている。

日頃からビジネス書や自己啓発書を読んでいる人にとっては、急いで読むことも無いだろう。図書館に予約しておいて、届いてから読めばいい本だと思う。

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2009/05/07

グローバルリーダーの条件/大前研一 ~ 努力ときっかけが大切

グローバルリーダーの条件 大前研一、船川淳志 PHP 1,300円
2009.5.7発行 読書日:2009.5.1

要するに、ニュアンスの伝わる英語が話せないといけないよ、英語屋に振り回されるなという話。

特段、この本を読んだから年収が上がるとか、出世できるという話ではない。
彼の武勇伝を読んで、元気を出したい人、共感したい人にはオススメできる。


大前氏は、学生時代に、クラリネットを買う金がほしくて、高給の通訳ガイドをした。
そこで、外国人を相手に要望を聞いたり、彼らをまとめたり、実地でコミュニケーションを鍛えた
というのが話の要諦だ。
(ちょっと言い過ぎかもしれないが)

竹中平藏氏へのコメントもあった。
incluseではなく、excluseという言葉を使いたがるとか、大前氏の話を外国人からの情報で得たな
ど、エリートらしい言い回しをしているところが印象的だった。
字面だけではわからない「ニュアンス」が伝わってくる。

船川氏が、「おわりに」おいて、頭のいい人ほど慎重で、正論を説いているが、最初の一歩が踏み
出せないでいると記している。
会社内で、「こういうアイディアがありますよ」と発言すると「じゃあ、あなたがそれをやって」と言われる。
頭のいい人はそこで躊躇してしまうのだが、そういった人に「それでいいじゃない」と励ましてあげると、
一歩進むことができるといったようなくだりがある。

結局のところ、発言内容に責任をもてないならば、発言してはならないわけだ。
下手なエリート意識をもっているから、「俺が考え、おまえがやれ」という考えになる。官僚的だ。

日本の政府が小さな政府になるのか、機能する政府になるのかはわからないが、エリート官僚の
皆さんにも、自分が行動することを前提とした企画を出してもらいたいものだ。

文科省で言えば、自分たちが子どもたちに読み聞かせをするわけでもなく、英語を教えるわけでも
ないのに、そういったカリキュラムを一方的に導入してしまう。
じゃあ、おまえがやれと言われても、読み聞かせや外国人講師の調達は校長がやればいいといって、
大事な部分には関与しない。
そのくせ、PTAは形骸化しているなどと言って、現場の校長が困るような政策を堂々とぶち上げる。
(今、各市町村の教育委員会には、学校支援本部という制度、役職ができている)

法律がそうなっているから、職務分掌制度があるから、と言い訳して直接には行動しない。
確かに、企画と現場が一緒になっていると、お手盛り評価をするリスクもあるから分離しているの
だから悪いとは言えない。
しかし、若手官僚が試みているように、現場の意見を聴取することに力を入れてもらいたい。

本当は、就職する前の学生時代に、学校現場の問題点を研究している人に役所務めしてもらいたい
ところだが、大卒、即、就職という日本の就業形態からして望めないところなのだろう。

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2009/04/04

良書 コーヒーとサンドイッチの法則

特段目新しいテーマはない。

しかし、とかく横文字や分析ツールなどを羅列して難しそうに書いた2000円、3000円するマーケティングの本は読む気がしない。
また、大企業の成功と分析を何百ページもかけて翻訳した本も読む気がしない。要点は最初か最後に書かれているから。

本書は、本来、情報収集と分析、考察に時間がかかるような内容にもかかわらず、わかりやすく書いている。
かっこつけず、とにかく、読者に伝わるように書かれたように感じられる。

事例は大企業のものが多いのだが、他の本とは異なり、中小企業の社長さんが読んでも、自分の仕事にあてはめ、想像しながら読み進めることができる。

おそらく、わかりやすく書いてあるので、自分に事業と重ねあわせるだけの余裕があるのだと思う。
難しく書いてある本は、理解するだけで頭をフル回転してしまうので、読んでも身についた感じがしない。

中小企業の社長、税理士、就職して間もない人にお勧めの一冊。

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2009/03/06

『もう人で悩みたくない!店長のための採る・育てる技術』

知人の岡本さんが従業員の定着率を上げるようなノウハウの本を出版
されました。

私の実家も飲食店でした。人の採用は紹介でなんとかなりましたが、
なかなか育てられないものでした。

人の採用、教育はひとつの方法だけというわけではありませんが、
逆に言えば、いろいろな引き出し(ノウハウ)を知っておかないと対応
できないものでもあります。

ご覧の皆様には、そのひとつの手法として、本書をお勧めします。

以下、ご本人から紹介文が届いていますので、ご紹介します。
お役に立てれば幸いです。

===============

こんにちは、『もう人で悩みたくない!店長のための採る・育てる技術』
という本を書きました岡本文宏と申します。

本書では、『人』の求人・採用・育成に問題を抱える
経営者、店長、小規模組織のマネジャーのために、
自分で「考え」・「動き」・「長続き」する
スタッフを作り出す秘訣を公開しました。

私が店舗経営者時代に
『人』の問題に悩まされ続けた中で発見したこと。

そして、現在、商店主・店長専門ビジネスコーチとして
活動して行く中で吸収した、
“コストを掛けずに”優秀な人材を
揃えていくための具体的な実践ノウハウ

さらには、全国100以上の店舗との
関わりの中からつかんだ現場情報を
一冊にまとめたものが今回の本です。

もし、お読みいただけたら、本当に嬉しいです。

よろしければ、本書の目次、前書き、第1章が
下記URLでご覧頂けますので覗いてみてください。

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2009/02/25

『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』

久しぶりに、人にプレゼントできそうな本が見つかりました。

読み物としてゼッタイに楽しめるし、ビジネス上のヒントも得られる一冊です。

特に、コミュニケーションリーダーシップ、あるいは、自分の才能について
考えたり悩んだりしている人にお勧めです。

他人に伝えやすい事例が書かれているので、腑に落ちるところが
たくさんあります。読んでいてストレスの無い文章でした。

多少、登場する漁師さんたちの言葉が硬い感じもしますが、著者がビジネス書
向けにアレンジしたのかもしれません。気にするほどではありませんが。

以下、著者から紹介文が届いていますので紹介します。
プレゼントPDFの応募もありますので、ご一読ください。

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

こんにちは、『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』
という本を書きました齊藤 正明と申します。

お忙しい中、目を止めていただきありがとうございます。

本書では、東京で働く会社員だった私が、意味のわからない
上司命令で乗せられた、マグロ船での実話を書いています。

最初、上司の命令を断りきれず、嫌々マグロ船に乗ったのですが、
思いがけず、マグロ船は心理的な居心地がよかったのです。

船は、40日以上も狭い中で同じ人と顔を合わせる仕事なので、
雰囲気をよくしないと、本当に殺人が起こりうる場所です。

しかし、私が乗せられたマグロ船は、運良くマグロ船の中でも、
トップクラスの成績を誇る船でした。

そのため漁師たちは、『ストレスに耐える仕事観』や、
『雰囲気をよくするためのコミュニケーション法』を
知っており、それをまとめたのが本書です。

この本が、多くの方に多く読んでもらい、少しでもあなたの
お役に立てばという気持ちで一生懸命に書きました。

もし、お読みいただけたら、本当に嬉しいです。
よろしければ、本書の目次など、下記URLで詳細をご覧ください。

http://www.nextstandard.jp/article/13397282.html

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2009/01/14

ゴジラ松井でビジネスを見直してみる

【感想】

 松井が32歳のころに著した本(2007.2.20発刊、新潮新書)。
 ある書評で、当たり前のことを一生懸命している松井の自伝として紹介されていた。読んでみると、その部分は、よくある日本の野球選手の心構えや練習風景画が書かれている程度という感じだった。
 それよりも、彼自身がサラリーマンと比較しながら、どの仕事も同じ要素があると語っているところが印象的だ。他の野球選手の著書で、そういったものを読んだ記憶が無い。

 冒頭は、左手首骨折からの復活過程、前向きな姿勢を著し、次第に、高校時代やドラフト指名当時、巨人の選手時代などが語られていく。
 個人的には、高校野球時代から著作の時期までにおける、松井なりの周囲とのコミュニケーションのとり方などにも触れられている点が印象的だった。

 私もこのころ、周囲とのコミュニケーションのあり方を省みていたころで、土俵は違うけど、同じ年齢時期のプロとして感じるところは同じなのかなと思った。

 特に、思考で素質を補うという部分は興味深い。まずは、足元から固めるとか、自分に足りないものを知る、節制と誘惑、継続は力なりなど、中小零細事業としては耳が痛いところだろう。
 個人的に印象に残ったのは、彼がスランプ時期に母親から言われた「竹の節があるから竹はまっすぐ伸びる」ということば。
 彼が父親のことばで特に覚えているものは「万事塞翁が馬」。小学生のころから野球に賭けていた息子へのことばらしい。慰めよりは勇気付けの意味だろう。
 私の父も生前に話していた言葉で、偶然同じだったことが印象的だった。私も、身体一つで稼いでいるわけだから、有事の場合は、このことばが参考になるかもしれない。


【あたりまえのこと】
 あたりまえ、の切り口から見てみよう。

 継続することで基礎が磨かれていれば、スランプやケガで数ヶ月の練習期間を強いられても、復活できる。
 確かに、経営、税務、監査でも、勉強を継続することで忘れなくくなるだけでなく、要点を掴んでいくことができるようになる。
 一度掴んだ要領は、そう簡単には失わない。たとえ忘れることがあっても、すぐに感覚が呼び戻される。

 ビジネスでは、さらに、自分は変わりたくなくても、環境が変わっていってしまうことがある。まあ、人間の成長でも同じだが。
 それでも、自分の立ち位置を認識していれば、そこから、どちらにどの程度ずれていけばいいかがわかってくる。
 自分の立ち位置すらわかっていなければ、つねに、ゼロからの建て直しを強いられることになるかもしれない。

 松井のキーワードを事業主に置き換えておこう。

1) 足元から固める ⇒ 自分の事業定義を明確にする、そして、腕を磨く
2) 自分に足りないものを知る ⇒ 知識、知恵、経験不足を知り、それを補う方法を考える
3) 節制と誘惑 ⇒ 夢を追えという自己啓発ものもそこそこに、現実の問題点や自分自身と対峙する
4) 継続は力なり ⇒ 続けることで上手になる、信用がつく、顧客の方からアプローチされる
(※)

 (※)単なる待ちの商売という意味ではない。継続していると、規模の大小に違いはあるが、必ずニーズが一致した顧客層に会うことがある。逆に言えば、しょっちゅう変えていては、顧客とすれ違ってばかりになる。

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2009/01/13

こんな本もあるもんだ・・・パタン・ランゲージ

 「都市計画」というと、行政の予算書を見ていてもイメージがわかないところで、監査委員をしていたころも一番苦手な部分でした。

 ところが、今になって、「都市計画って、こういうことだったんだ」ということがわかる一冊に会いました。
 もちろん、部分的には反対意見も感じる部分がありますが、一連の流れを追って理解するにはよかったと思います。


 内容としては、都市計画のデザインについて、コミュニティーの境界線を軸に解説、紹介されています。
 街づくりに詳しいドイツやオランダの本かと思いきや、アメリカの本でした。
 確かに、アメリカも開拓地でしたから、研究は進んだのでしょうね。


 印象に残った点を1点紹介すると・・・
コミュニティーに境界線を明確に儲けることで、そこでのサブカルチャー(特定の地域での習慣や慣わしという意味)が発展する。境界線が不明瞭だと安定しない。」
 確かに、隣接する商店街、自治会、PTA、税理士会でもサブカルチャーがあり、けっこう特徴が明確になっていますね。
 そう思うと、地元・自由が丘ってマスコミでとりあげられて有名ではあるものの、その境界線がはっきりしないことで、特徴が安定しないのも事実。
 ビジネスでも、自分の境界線というか、「事業の定義」がはっきりしない「なんでも屋」って信用されないですよね(ワンストップ・オフィスというのは専門家の集まりだから、ああいうのは別の意味がありますが)。


 最近読んだ哲学者の伝記(あくまでも伝記)で、「人々は支配されたがっている、だから支配者を求めている」というくだりを読んだのを思い出しました。
 地域を限れば、サブカルチャーが明確に育ち、初めは望まれたリーダーが出現するけど、そのリーダーは次第に期待していないことまでし始めて、支配者だとか独裁者だとか呼ばれてしまう。
 結局のところ、リーダーが悪いのではなくて、「誰か手を挙げてくれないかなぁ」という人任せをしているところに支配者や独裁者を許す隙があるのかもしれない・・・と思ったわけです。
 国民には眠っていていただきたい、と言った大臣がいましたが、あれは、支配者でありたいという願望発言とも聞こえますね(タイミング的には、選挙対策かもしれませんが)。
 もっとも、国民からの要望の中には、複雑な、難しい、面倒な、感情が対立するような仕事も任されているという点では同情できますが。


 話は戻りますが、都市計画って何だろうとお感じの方には、ご一読(というより斜め読み)をお勧めする一冊です。

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2008/02/13

歴史人口学で見た日本 (文春新書)

歴史人口学で見た日本 (文春新書)
速水 融 著

 江戸時代の宗門改帳(しゅうもんあらためちょう)に基づく人口推移から日本の当時の様子を分析しようというもの。

 著者は、経済史を専門としており、スペイン、イタリア、あるいは、カトリック、プロテスタントと比較しながら、宗門改帳の意義とそこから垣間見る当時の日本を分析している。


 宗門改帳は、日本人全員(武士を除いたらしい)が、それぞれどこのお寺の信徒檀家になっているかを記録していったもの。
 というより、日本に入ってきたキリスト教に対抗すべく、全員がどこかのお寺の信徒檀家になるようにという政策があった。
 中東方面では、一神教を理由として戦争がおきている。よそ事のように感じていたが、キリスト教が日本に与えていた意外な側面がわかった。

 このほか、面白い現象として、江戸、大阪・京都という都心では、平常時(飢饉などがないとき)には、唯一(唯二というのか)、人口が減少するという、「都市アリ地獄」現象が起きていたそうだ。

 つまり、都市部は生きにくいということ。
 だから、周辺では人口が増え、そこから都市部に人が流入していたとのこと。
 時代は違っても、今でも「アリ地獄」現象は顕著な気がする。

 普段、なじみのない分野の本を読んでみるのも面白いものだ。

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