2009/10/16

第30回 年度末まぎわの買い物

第30回 年度末まぎわの買い物

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 個別項目に関する調査ポイントについてお話をすると、現金から雑損失まで、
調査手続やポイントはいくら
でもあります。

 ただ、かなり高い確率で、ここは見るぞというポイントがいくつかあり、その
ひとつが年度末まぎわの買い物です。

 小売をされている人が年度末3月31日などに仕入れれば、それは、本来棚卸資
産として通常経費から除く必要があります。
 しかし、わざと、あるいは、内部の連絡ミスなどで、棚卸資産に振り替えてい
ないことがあります。
 これを「棚卸除外」と呼びます。
 調査官としては、年度末の1週間前後の特定の科目を調べるだけで、追徴課税
できますから、彼らにとってはありがたいポイントです。

 そこで、類似した項目にも注意が必要です。

1)広告宣伝費
 販促用のグッズを大量に買い込むケースです。配りもしないうちに損金にして
しまうわけですから、調査するほうも簡単に指摘できます。
 ただ、これらは、翌年には損金になるので、中期的に見れば特別に損したとは
言えず、単に、調査官にポイントがつくだけです。

 ただ、プリペイドカードとなると別です。
 最近はテレホンカードやイオカードがなくなり、代わりに、コンビニで買い物
が出来るクオカードや図書カードが販促品に使われています。
 これは、年度末に買いこんで、損金で処理し、その後、金券ショップで換金す
ることで、裏金づくりにもできます。
 調査官としては、これを見つければ、棚卸資産にさせるどころか、雑収入を計
上させることもできます。

2)商品評価損
 このほか、商品評価損も関連項目として調べられます。
 中小企業だと商品評価損という科目を使用していないことが多いかもしれませ
ん。
 在庫商品が滞留してしまい、時代遅れや技術革新で、安くしないと売れない、
あるいは、安くしても売れなくなると、原価の一部を評価損として損金にするこ
とができます。
 また、ブランド商品については、価格を維持するために、わざと廃棄処分して
しまうことがあります。
 調査官としては、本当はどこかに商品を隠しておいて、陰で換金しているので
はないかと考えます。
 評価減については、そのリストと理由を一覧にまとめ、部門長や経営責任者に
おいて決裁をしておかないと、単純な利益調整や申告漏れと認定され、追徴課税
されること
があります。
 廃棄処分については、特に慎重にすべきで、社内決裁の他にも、産業廃棄物処
理業者から、引き取ってもらう商品名や数量を記載した証明書をもらいましょう。
明細については、自社で咲き据え石、納品書、証明書に添付、契印(割印)して
もらうという工夫も有効です。
 最近はデジタルカメラも普及してきました。まめに、処理時の画像を残してお
くとよいでしょう。

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2009/10/02

第29回 消費税の調査(支出編)

第29回 消費税の調査(支出編)

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2)支出に関する調査

 一時、切手や収入印紙をどこで買うかで消費税が含まれていたり、含まれてい
なかったりしました。
 郵便局なら非課税、金券ショップなら課税、印紙売捌き所の指定がある酒屋は
非課税。さらに、その酒屋が業種転換したコンビニなら非課税、そうでないお店
なら課税などということもありました。
 今は、郵便局も民営化され、課税されるようになったので、ほとんどの場合、
どこで買っても消費税が含まれるようになっています。
 それでも、小さなたばこ屋さんなどでは、そもそもが免税業者になっていて、
消費税がかかっていないこともありますので注意が必要です。

 言うまでもなく、消費税込みの金額で取引したほうが、消費税の納税額を計算
する上では有利になりますので、全体としては有利になったと言えます。
 切手や印紙でも、ちりも積もれば山となるではないですが、会社によっては年
間で数十万円、数百万円の差が出てきます。


 印紙や切手以上に、中小企業でも影響があるのが、人件費、外注費です。
 消費税のことだけ考えたとき、同じ金額を払うのであれば、社員より外注にし
た方が有利になります。
 例えば、事務員に年収と法定福利費で500万円かかるとします。
 これを派遣業者に頼んで、事務員を税込500万円で派遣してもらうと、消費税
率が5%なら、支払った消費税は23万円ほどとなります。消費税の申告・納税を
するとき、この23万円を差し引くことができます。

 この仕組みをアレンジして逆手にとったのが、外注先が個人事業の場合の扱い
です。
 個人の外注先が免税業者なのに、課税業者として扱うと、消費税の納税額を減
らすことができます。
 職人さんとか、フリーランスの技術者やデザイナーさん、あるいは、日雇いの
人には免税業者が多いのですが、この人たちへの支払を課税扱いして処理してい
ることがあります。
 わざとなのか、入力ミス、支払先のミスなのかはともかく、税務署としては、
追徴課税しやすいポイントになります。

 ちなみに、交際費に含まれる消費税は差し引けますので、この点はご安心くだ
さい。

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2009/09/18

第28回 消費税の調査(収入編)

第28回 消費税の調査(収入編)

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 個別項目に関する調査ポイントについてお話をすると、限りなくあります。
 例えば、科目別に見ていけば、現金から雑損失まで、調査手続やポイントはい
くらでもあります。
 それらすべてをおさえておくことは、事実上無理なことですし、そこにコスト
をかけると修正申告よりお金がかかってしまうでしょう。
 そこで、必ずチェックされるものを抑えておきましょう。
 そのひとつが、消費税がらみの調査です。

1)収入に関する調査

 売上については、そもそもの取引が、課税取引、非課税取引、不課税取引に分
けられています。
 課税取引と課税されない取引の区別はほぼできるのですが、非課税取引と不課
税取引の区別は、決算のたびに確認しないとならないくらいよくわからない区分
になっています。

 そうはいっても、気をつけていないと不利になるものがあります。
 どこの会社にもあるものとしては、受取利息、受取配当金です。消費税の計算
の際に、これらを課税売上として消費税の計算をすると損をします。
 赤字と黒字を繰り返していると、国税還付金と利子還付金などという還付金が
入ってくることがあります。これは課税対象外ですから、消費税の計算から除外
しないと損になります。

 けっこうあるのが、法人であって、アパートやマンションを貸し付けているケー
スです。つまり、居住用の家賃収入です。
 社宅収入のある会社は要注意です。
 これは、住む人の側に配慮して、住居家賃には消費税をかけないようにしよう
という制度ですが、受け取る側としては、気づかずに課税売上にしていることが
あります。でも、非課税なので、消費税の計算に加えてしまうと損をします。

 そのほか、臨時で不動産の売買をする場合は、土地は非課税ということを知っ
ておけば、たいていの収入については対応できるでしょう。

 税務調査では、以上のミスがあっても、税務署に不利ではないので、特段指摘
してくれるとは限りません。稀に、修正して還付しましょうかと言ってくれるこ
とはあります。

 では、税務署がチェックするのは何かというと、雑収入とか固定資産売却損で
す。
 廃棄物を売ったお金は、会社としては余禄のようなものですが、自社が課税業
者ならば、消費税が課税されます。
 また、会社の車を売却して損が出ていても、消費税がかかります。これが結構
多い事例です。
 というのは、収入額について「売上」にも「雑収入」にも「売却益」にも出て
こない項目なので、収入があったことを見逃しがちになるからです。
 つまり、固定資産やゴルフ会員権などの資産売却で損を出したときでも消
費税がかかるわけで、納税者としては課税を見逃しやすい点です。そこが調査官
にとって事績を上げるポイントになっています。

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2009/09/04

第27回 事前に準備・確認しておくもの

第27回 事前に準備・確認しておくもの

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 たいていの調査では事前予告があって、現況調査、現地調査にきますので、そ
れまでに、次の書類を揃えておくようにしましょう。

1)株主総会議事録(社員総会議事録)
2)取締役会議事録
3)定款
4)稟議書
5)経営者会議録・部長会議録等の社内会議録
6)会社の各種規程集
7)契約書(売上および外注など)
8)領収書・請求書・見積書
9)得意先・仕入先台帳
10)総勘定元帳など

 小さな会社だと、議事録や稟議書、会議録がないことでしょう。
 しかし、役員報酬の改定については、議事録がものを言います。
 これがないと、税務署は、単なる利益調整、税金調整のために役員報酬を変更
したと認定してくるからです。
 会社としては、社長の鶴の一声などというものではなく、きちんと手続を踏ん
で取り決めた会社の正式な決定であることを証明することで、税務署の一方的な
見解を跳ね除けることができます。
 役員報酬のほかにも、同族企業だと、大家が取締役の場合があり、そのときの
家賃の改定や取締役への貸付金利息の取り決めというのも調査の重点項目になり
ます。

 私の経験ですが、私の顧問先で前年まで別の税理士、それも税務署OBの税理
士が顧問についていた顧問先に調査が入りました。
 初日、帳簿をひっくり返して、役員報酬のあたりをチェックしていました。
 翌日、絶対、議事録を見せろといってくるなと思って社長に聞くと、議事録な
んて作っていないと。
 そこで、その晩のうちに作成し、メールで送り、印鑑を押しておいてもらいま
した。
 案の定、翌日、議事録を見られましたが、問題なしでした。
 横で見ていて、印鑑の色が新しすぎるのではないかと指摘されるかもしれない
などと心配していました。
 でも、使った朱肉がよかったのか、あるいは、半年前の会議だったので、作っ
たばかりという感じでも調査官は不自然に思わなかったのかもしれません。
 もちろん、この行為は法律違反ではありません。会議があったのは事実であり、
単に議事録が無くて調査上不利になりそうだったという話です。
 もっとも、ほとんどの会社では、会議当日に議事録を作成し、押印を完了する
ことは稀なことでしょう。


 中堅企業以上になれば、稟議書や経営者会議、部長会議などの議事録も完備し
ておく必要があります。
 税務署は、契約の細かな流れなどを知りたがります。
 調査官は、けっこう見積書のチェックもします。
 見積りしておいて、納品書や工事完了報告書がないとか、請求書が発行されて
いない場合、本当に契約不調に終わったのか、売上金を隠蔽しているのかを調べ
ます。
 いちいち、契約担当者や営業担当者を呼び出して、調査官に説明させるなんて
大変な手間です。単に見出しと結論だけというメモレベルのものであっても、何
らかの記録を残しておくと、お互いの時間の節約になります。

 得意先・仕入先台帳も見られます。最近は、専用ソフトだけでなく、エクセル
で管理・作成されている会社もあります。
 調査の際には、そういったものを印刷してファイルしておくとよいです。

 もし、この台帳が会計ソフトから印刷されているものであれば、元帳とリンク
しているので、それほど厳密に見られることありません。
 しかし、会計ソフトと別に管理されているエクセルベースのものなのであると、
その取引相手について調べられる可能性があります。
 台帳に名前があるのに元帳に名前がないとか、台帳の取引実績と元帳のそれと
に差があるかどうか、といったところを調べられます。
 こうした点には、単純な入力ミスというのもありますので、調査官にとっては、
調査実績を残しやすい調査ポイントとなります。

 なお、帳簿類は、法律で綴って保管することになっていますので、ばらばらに
していてはいけません。必ず、ファイルするようにしてください。

 顧問先に伺って、帳票類をひとつずつ拝見すると、具体的に直していただくこ
とがよくあります。
 一度、こういった総務系の書類を並べてみて、足りない部分をチェックしてく
ださい。
 いざというときに困らないですみます。ご自身で、仕事を振り返ることにもな
りますので、決して無意味な書類整理にはならないと思います。
 ぜひ、取り組んでください。

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2009/08/21

第26回 毅然と調査を受ける

第26回 毅然と調査を受ける

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(3)毅然と

 納税者や経理担当者が、調査官のことを怖いと思って、言いたいことが言えな
いということもあるでしょう。
 しかし、調査官が使う専門用語、特に、申告手続の言葉について、わからない
のにわかったふりをしていると後で困ることになります。

 例えば、修正申告に応じてください、と言われて、調査があれば修正申告をす
るものだなど知ったかぶりして気軽に承諾すると大変です。
 新聞やニュースで、大企業も修正申告に応じていたと言っていたから、自分も
当然しなければならないのだろう、などと思い込んではいけません。

 修正申告は自ら修正するので、一旦提出したら、税金を減らす方向には再修正
できません。。
 後になって、あれは勘違いでした、証拠があります、などと言っても、簡単に
は応じてくれません。

 日本の確定申告は、自ら申告して納税する制度となっています。お国が勝手に、
お前はいくら払えと命令してくる方式ではありません。
 従って、自ら「修正します」と意思表示してしまうと、修正すべき事実があっ
たものとして扱われてしまいます。


 実は、税理士でも、こうした事情を知らないで、納税者に不利益を与えてしま
うこともあります。
 というのは、税理士試験に憲法や民法のテストがありませんから、当然には知
らないわけです。
 税理士であっても、このあたりのことは、税務調査の実務を経て、学んでいく
ものなのです。
 したがって、経営者ならば、税務調査の受け方といったような冊子や記事を見
たら、必ず、目を通すようにしましょう。
 その上で、顧問税理士と協力するような形で税務調査で対抗するよう心がけて
ください。
 自分の財産は、自分で守って当たり前なのですから。

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2009/08/07

第25回 気持ちよく調査を受ける

第25回 気持ちよく調査を受ける

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(2)気持ちよく

 どうせ調べられるのだから、気持ちよく、さっさと帰ってもらおうという気持
ちで調査に接していただけるとよろしいかと思います。

 調査官によっては横柄な者もいるので、嫌なことを我慢する必要はありません。
 場合によっては、税務署の総務課に電話して苦情を伝えることも必要です。

 ただ、特段戦おうという気持ちがないなら、受け答えも気持ちよくしてあげた
方がよいです。
 わざと資料を出すのを遅くしたり、なくした振りをしたり、お金の使い道を聞
かれて忘れたふりをしたりすると、調査自体が進みません。
 即答は難しいにしても、中小企業なら遅くても3,4時間くらいで回答してあ
げればよいでしょう。

 また、椅子のないような畳の部屋だとか、エアコンが効かない部屋に押し込め
るということも、仕方ない場合を除き、しない方がよいでしょう。
 早く帰って欲しいからという理由で、環境を悪くしようすると、調査官も人間
ですから、逆に意地を張って調査を長引かすこともあります。
 調査官としては、帳簿類を全部預ることもできないわけではありません。心理
戦に出ると、相手も心理戦で応酬してくることもあります。
 本気で戦う気がないなら、あたりさわりないようにしておくのが無難です。

 たいていの会社には、調査が数年に1度しかなく、しかも、毎回、調査官は違
います。
 だから、調査官としても、調査に行ったけど1円もとれないかもしれない、と
いうプレッシャーがあります。
 調査妨害されて調査が進まないからという理由で、意地で1日、2日も延長さ
れては、会社の業務に支障が出ます。
 特に、営業に特化している社長が拘束されたりすると厳しいでしょう。


 調査の最後には、調査官、調査官の上司、社長、顧問税理士が顔を合わせ、調
査の総括を行います。
 税務署側が指摘事項を並べて、認めますか、認めませんかとひとつずつ、会社
と顧問税理士に確認を求めてきます。
 気持ちよく調査に協力しておけば、小さな案件については見逃してもらうとか、
修正しないで、今期の利益に戻してO.K.にしてもらうとか、さまざまな交渉
もできます。
 あえて、対決姿勢をとるのは得策とも思えません。
 それより、指摘事項を減らして、税暦票への記録もあっさりしたものにしても
らい、さっさと帰ってもらって、本業に取り組んだ方が利益につながります。
 なにせ、調査では、たいてい、お金が出ることはあっても、入ってくることは
ないのですから。

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2009/07/24

第24回 税務捜査を受けるときの心の準備

第24回 税務捜査を受けるときの心の準備

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(1)正々堂々と

 事前に内偵調査でもされている場合は、会社のどの取引を捜査するかを決めて
きますが、大方の調査の場合、そういったことはありません。
 調査官には税暦票というファイルがあり、そこには、過去の売上・利益・税額
、調査結果(脱税とか修正もれの経緯など)が書かれています。

 税務調査では朝10時にくれば、正午までに、どのあたりを調べるかについて見
当をつけます。
 新人研修みたいなものだと、ざっと財務分析して、年度比較、月次推移をとっ
たりします。
 急な数字の増減があれば、その理由を追及すると、たいていの場合、申告漏れ
や見解の違い、処理間違いを発見していくことができます。

 でも、中堅・ベテランは、まず、税理士の仕事状況を見ます。具体的には次に
ような感じです。

①年度比較して著しい増減がないこと
②領収証、規則集、議事録、注文書、取引メモなどが秩序整然と並んでいる
③決算処理を毎年定型的に、規則的に行われていること
④税務調査への対応が早い

 つまり、きちんとした税理士なら、決算書を作成するとき、著しい増減がしょ
うじていないかどうか、財務分析などには気を配っています。したがって、そこ
から何かが見つかることについては期待していません。

 では、調査官は現場にきて何をするかと言うと、世間話。
 これは会計士による外部監査でも行われる方法なのですが、ここ2、3年間の
業績や、事業展開、組織や役員など人員の「変動」を聞いていきます。
 特に事業展開や組織の再編などがあれば、固定資産や役員報酬に変化がありま
す。
 特に、こういったたまにしかない変動については、会計処理のミスや税務上の
見解の相違などが入りやすくなります。


 また、中小企業だと、代表取締役、たいてい、社長と呼ばれている人の個人的
な話を何気なく聞いてきます。
 趣味だとか、取引金融機関や家族が何をしているかなど。
 趣味で会社の車を乗り回しているとか、常勤取締役にして給料を払っている長
男が留学中で実は働いていないとか、ネット販売のために個人口座を作っている
とか。追徴課税へのヒントを探ってきます。
 個人の銀行口座については、銀行も税務署に協力しすぎるとして批判されてい
るところではあります。
 調査官が、調査前に銀行から、通帳の出し入れの記録を取り寄せていることが
あります。会社や自宅の周辺の銀行支店に当たりをつけて、反面調査に行ってい
るのです。
 確かに、個人口座に通信販売分の売上を振り込ませたり、知り合いに売ったと
きはそこに送金してもらうという社長さんもいます。また、団体役員には、保険
などの事務取扱手数料を個人口座に振り込ませる人もいます。
 そうした人がいますので、税務署としては口座を調べるわけです。調査のとき
は、事前に調べているとは言わず、個人口座に売上は入っていませんよねなどと、
カマをかけてきます。個人の銀行口座や株式口座に話が及んだときは、すでに調
べてあるなと思ってください。もちろん、脱税していなければ、心配いりません。


 そして、意外なのが、伝票をぱらぱらめくること。
 未だにそんなことやってるのか、などとベテラン税理士は辟易するところなの
ですが、実は、けっこう不正や間違いをみつけるのに有効な手段なのです。
 「こんな領収書あるわけないだろう」とか「こんな契約をなぜするの」とベテ
ランならではのパターン認識による直感が働いてくるわけです。
 帳簿だけでなく、伝票の整理も大切なのです。

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2009/07/10

第23回 今どきの調査官

第23回 今どきの調査官

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(3)今どきの調査官
 最近、税理士の間でも、調査官の質について話題になっていることが2つあり
ます。
 その一つが、調査官が税理士とのやりとりを上手にできないということです。
 以前は、各調査官も何らかの形で地元の税理士と交流する機会がありました。
宴会の席という意味ではなく、囲碁や野球の対戦とういものもありました。

 また、税務署の建物の中での無料確定申告というのも無くなってしまいました。
 やり方を慎重にしないと国家公務員倫理規定違反に問われるおそれがあるので、
こうした行事やイベントは廃止した方が無難になっているわけです。

 そのために、調査官が社長に陪席している税理士にどうやって声を掛けたり、
駆け引きをしたり、指摘事項について同意を得たらよいのか、コミュニケーショ
ンのやり方に右往左往しています。
 確かに、本来、社長を相手に調査をするものが、社長+顧問税理士なのだから、
単純にコミュニケーションをとるのもややこしいものです。
 その上、顧問税理士の顔もそれなりに立てないと、徹底的に抵抗され、不服申
し立てや税務訴訟に流れてしまう可能性もあります。

 調査官としては、面倒なことになるより、修正申告してもらって、罰金を払っ
てもらうのが一番成績があがるわけです。
 調査開始直後の数時間で、ある程度の人間関係を作りつつ、会社の情報を得て
いかなければならないのですから、それなりの技術や場数が必要になります。

 もう一つが、嘱託の調査官です。
 こちらについては、税理士としてはやりやすいとも言えます。
 森・元首相のe-Japan構想で、署内のコンピュータ化も進み、電子申告の普及
率も上がってきているところです。
 そのためなのか、人口減少のためなのか、予算削減のためなのか、税務署も職
員を減らしています。
 そのような中、調査技術の高い調査官に辞められると、各税務署としての実績
が下がってしまいます。
 そこで、退職した調査官を嘱託で延長して雇用するのです。

 この点は、メーカーの熟練工と同じ事情で、税務署でも課題となっています。
 しかし、技術は高いと言っても、そこは公務員。結局、昇給や昇進などの評価
がないとモチベーションが上がりません。

 また、申告是認してもプレッシャーがかからない立場では、文字通り、血眼に
なって間違いを探そうという気にもなりません。
 相当に調査というものが好きな人でなければ、その能力の100%を駆使して、追
徴課税をとってこようとはならないものです。
 こういう調査官には、静かにお帰りいただくのが一番です。

 どういった調査官であるかを見抜き、駆け引きをして、いかに追徴課税や罰金
を少なく抑えられるかは、顧問税理士や社長の知識や経験、鑑識眼がものを言う
部分でしょう。

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2009/06/26

第22回 法人部門の調査官

第22回 法人部門の調査官

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(2)法人部門の調査官
 さて、法人税については、法人部門が担当することになるわけですが、早い話、
税務署の中でも有能な人たちの集まりと考えておいていいでしょう。
 さらに、IT化が進んでいますので、資料の管理や分析は簡単にすることがで
きます。
 いわば、調査官側においては鬼に金棒という状況ではあります。

 とは言っても、調査の際、特官のような超ベテランが来るのは、相当複雑な取
引をしている場合か、税法自体に議論の余地がある場合と考えておけばよいでしょ
う。
 たいていの場合、普通の調査官が来ます。この普通というのが、お伝えしにく
いところですが。
 彼らは、最初は笑顔で世間話をしながら、社長や会社の概況を把握していきま
す。その中で、間違いがわかることもありますし、そうでなかければ、間違いが
よく見つかる部分に焦点を絞っていきます。
 調査の方針が定まると、順次質問や資料請求を繰り出し、謀ったように手際よ
く調査を進めていきます。

 会社の監査部門に似ていると言いたいのですが、監査部門がある会社は稀なの
で、他の例で言えば、外資系の生命保険の外交員に近い感じがします。
 家族構成から、将来の夢、例えば、住宅、車、教育に必要な資金需要を聞きだ
すまでは、非常にアットホームな感じです。
 しかし、それを聞いてしまえば、外交員がその場で携帯しているパソコンの上
に、夢に合わせた保険の提案書が映し出されてしまいます。
 それを見ながら、内容の確認を行い、納得したところで、契約に話をもってい
くという感じです。
 こうした流れを作られては、契約を拒否する理由が見つからなくなってしまい
ます。

 調査も同様で、会社の状況を把握した調査官は、その状況に基づいた調査をす
ると追徴課税できそうだと思われる取引に目当てをつけます。
 そして、差額を発見すると、内容確認を行い、納得させ、修正申告の約束をさ
せるわけです。
 もっとも、調査官がこうした流れを創り出すには、それなりの勉強と場数が必
要になります。
 他の税理士とも話すのですが、そういった調査官が減っているのが実情のよう
です。
 調査官もコミュニケーション下手といったところでしょうか。

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2009/06/12

第21回 調査官はどういう人か

第21回 調査官はどういう人か

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(1)調査官の概要
 調査官は税務署職員希望者のための試験を受け、合格者の中から採用されます。
 マルサの人たちは、国税専門官の試験を受けます。
 このほかに、財務省で採用された人が、短期間、税務署長になることがありま
すが、彼らは基本的に調査には係わりません。

 税務署の調査官について言えば、採用後、税務大学校に入り、研修を受けます。
 その後、法人税部門、個人部門、資産税部門、その他管理部門に配属されます。
 その割合は、だいたいですが、4:3:2:1です。
 ここで少し部門についてお話しましょう。

 法人税についてですが、源泉徴収担当も含まれるのですが、この部門に全体の
4割しか配属されません。
 でも、この人たちは、署内でも有能と目される人たちです。
 やはり、納税額や調査対象の規模が大きいからでしょう。国のために働いてい
るという感じがするのでしょう。

 ただ、1件ずつの金額が大きいということで負けていないのが資産税部門です。
 担当する税目は、相続税・贈与税、譲渡所得税です。土地や株式等を売ったと
きの申告といったものを担当する部門です。
 数が少ないので、総額としては小さいのですが、特例なども多く、相談件数は
かなり多い部門です。
 もちろん、署内でも頭のいい人たちの集団とされています。

 そして、通常の個人部門。年金やアパート経営、個人で商売をされている人た
ちなどを対象にしている部門です。
 件数は多いものの、1件当たりの申告額が小さく、また、個人相手なので、さ
ほど複雑な制度が盛り込まれていません。
 また、特例によって、大きく減税されることもあり、どちらかというと、税務
署としてはあまりおいしくない部門です。

 そして、あまり調査官や相談員に向いていないと思われる人が配属される部門
があり、管理部門と徴収部門です。
 銀行などから回ってきた税金の納付書を集めて管理するのが管理部門や、未払
いの納税者に問い合わせ文書を出したり、延滞税の計算をするのが徴収部門です。
 税務署にもこうした部門があり、正規職員がいます。

 法人、個人、資産の部門には、さらに、いくつかの部門が設定されていていま
す。
 例えば、法人第一部門というように呼ばれています。
 そこには、課長級の上席がいます。その上に、部門長がいて、その上に担当副
所長がいて、税務署長がいるわけです。
 大きな税務署ですと、副所長と同格とされている特官と呼ばれる特別調査官が
いることもあります。
 非常に調査技術が高いものの、管理職に向いていない人が、この特官になるよ
うです。

 ここまで細かく知らなくてもいいのですが、税務署には法人部門と個人部門が
あることだけは知っておきましょう。
 調査の連絡が入ったとき、会社の調査なのか、社長個人の調査なのかがわかり
ます。
 ここのところがわからないと、顧問税理士との打合せでも、何の調査かわから
ず対策が打てません。
 必ず、担当部門と担当者、そして、電話番号を聞くようにしてください。

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